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「真の問い」でつくる社会科授業デザイン

12面記事

書評

澤田 康介 著
「自分事」にする指導展開例示す

 本書は、社会科での「問い」を、先人の実践などに学びながら、単元の入り口で「仮の問い」として設定し、知らないことなどを学習する中でそれまでの「見方・考え方」が揺さぶられ、あるいは意見の対立を見るような場面を捉えて、「~なのに、なぜ?」と「真の問い」を成立させていく道筋を示す。「二重構造的な問いの展開」が「学びを深化させるだけでなく、社会的な出来事を多面的に捉える視点を育てる上でも有効」と考えるためだ。
 第1章「『真の問い』を生み出す! 学びを深める社会科授業デザイン」で「問い」の在り方、「問い」を生み出すための教材研究の視点、子ども自身から「問い」を生み出すための「教師の出」の工夫などを解説。また、小・中学校の指導経験を生かし、小・中で共通する「問い」の本質、それぞれの学校段階での「問い」の特徴を解き明かす。
 第2章は小学校・中学校での八つの実践を、教材研究のポイントから問いのデザイン、指導展開例、「問い」を追究する授業場面に分けて掲載。例えば、借金を負ってでもまちづくりに奔走した地域の先人と現代に復活した7代目の活動、居住市が森林都市であることを知り、外国産より高い地元木材にこだわる人々を取り上げ、子どもたちが地域を「自分事」として見つめ直す端緒をつくる。社会科は「自らの意見を構築していく教科」という著者の教科観が具現化する。
(2046円 明治図書出版)
(矢)

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