令和7年通常国会質疑から【第15回】
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国会では、法案審議のほか、議員が提示した課題に対して政府の見解をただす一般質疑が行われている。昨年の通常国会質疑のうち、6月13日の衆議院文部科学委員会では、「学校教育を取り巻く諸課題」に焦点を当て4人の参考人を招き、議員が質問を重ねた。
生成AIの導入とルールづくり
西岡義高氏(国民) 生成AIについてであるが、今後、教育分野にもどんどん取り入れられていくと思う。ただ、データを学習させる際に、ジブリ風の動画などの問題があったように、データを取り込む際の著作権の問題や、いわゆるディープフェイクの問題などがある。しっかりと一定の法規制やルールを作り、健全な発展をさせていかなければ、教育の中に取り入れていくことは難しい。その前提として、ルール作りが必要だと考える。例えば、自転車に乗るなら交通ルールを教える、そういったものだ。ただ、そのルールが、生成AIについてはまだ十分に整っていないと思う。そこでまず、生成AIに関する規制の在り方や考え方について伺いたい。
堀田龍也東京学芸大学教職大学院教授 生成AIについては、この二年ほどで急速に発展しており、社会への普及も非常に速い勢いで進んでいる。民間企業では、これを使わずに何かをすることが、もはや難しくなってきている状況だ。学校においても、文部科学省が生成AIの活用について一部の学校を研究指定し、その学校では、子供たちに使い方を教えた上で、積極的に活用することを促している。
上がってきている事例としては、子供たちの相談相手として生成AIを用いるものがある。ここで言う相談相手とは、生活上の相談というよりも、自分が作成したレポートについて、どう思うかを生成AIに尋ね、論点が弱い部分を指摘してもらい、それを基にレポートを修正していくような使い方である。英語で言えば、コミュニケーションの壁打ちの相手のような役割を担わせる使い方が多いと考える。
こうした活用も、使い続ける中で、どのような使い方が子供たちに適しているのかを、教師も子供たちも徐々に理解していく部分がある。現在はパイロット的な実践ではあるが、これを基に、「このように用いるとよい」という一種のガイドラインを示していくことが重要だと思う。
また、学習指導要領においても、生成AIの仕組みやメカニズムがどのようなものかを扱う必要がある。これは、おそらく中学生以上でなければ正確な理解は難しいが、技術の進展が速いものを教育課程の中にしっかりと位置づけ、その上で、だからこそ私たちはこのように使う必要があるのだという「適切な利用の仕方」を教えていくことが重要である。これまで生活体験の中で何となく済んでいたものを、これからの時代には教育内容として明確に位置づけていく必要があると考えている。
澤田稔上智大学総合人間科学部教授 生成AIのように、こちら側も使い方について明確な答えを持っているわけではないものについては、先ほど堀田先生も述べたように、まずは教員が一方的に教えるというよりも、一緒に考え、一緒に使いながら課題を整理していくことが重要だと思う。そして、教員は専門家と共に活用する、そうした循環を続けていくしかないのではないかと考えている。
私の学生の中にも、そうした点で課題を感じている者は多いが、それでも生成AIを一緒に使っていく中で、興味深い気づきが生まれることがある。例えば、日本語で「それは本当に正しいのか」とチャットGPTに尋ねると、日本語では「すみません、間違っていました」と謝る反応が返ってくることが多い。一方、英語では必ずしも同じ反応にならない。
本学には英語が得意な学生もいるため、日本語と英語で反応を比べることで、文化的なバイアスが見えてくる。日本には日本の利用者に合った回答が返ってくるのだということに学生が気づき、そのような点を学生同士で話し合いながら、チャットGPTや生成AIの特徴を理解していく場面もある。
このように、そこで得られた気づきを一緒に取り上げつつ、教員だけでは分からない部分については専門家と検証を重ねていく。指示や指導を一方的に行う文化から少し距離を置き、一緒に考え、それを循環させていくことが必要なのではないか。そのようなイメージを持っている。
(議事録を要約)

