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教員採用倍率2・9倍 既卒受験者減が響く

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文部科学省

 令和6年度実施(令和7年度採用)の教員採用試験の倍率は2・9倍で、過去最低を更新したことが25日、文科省の集計で分かった。新卒受験者数は横ばいだが、既卒受験者の大幅な減少が大きく響いている。
 調査は67の都道府県・政令指定都市教委と大阪府豊能地区教職員人事協議会の計68自治体に実施した。
 教員採用試験の受験者総数は過去最少の10万9123人で、採用者数は過去最多の3万7375人だった。全体倍率は前年から0・3ポイント減の2・9倍となった。学校種別では小学校と特別支援学校が2・0倍、中学校3・6倍、高校3・8倍だった。
 教員採用試験の倍率低下は構造的な要因が大きい。ベテラン世代の大量退職や、特別支援学級の増加を背景に、多く採用する必要がある状況が続いている。特に昨年度は、地方公務員の定年延長もあり、退職者数が前年から1万6千人近く増加した。
 大量採用のため、講師として働きながら受験していた層が正規採用されるようになった。
 昨年度の受験者のうち、既卒者の割合は小学校50・4%、中学校58・0%、高校66・6%、特別支援学校は73・5%。近年は右肩下がりで、小学校では平成20年度から20ポイント以上も下がっている。
 非正規雇用の講師がなかなか教員採用試験に合格できなかった状況は解消に向かっているものの、減少する既卒者に対して新卒受験者はほぼ横ばい。既卒者の動向が受験者数や倍率に大きく影響している。
 同省では、教員採用試験の工夫・改善を教委に要請していく他、働き方改革や処遇改善を推進。中央教育審議会の議論を踏まえて教員免許制度改革などを実行していく方針だ。構造的な要因なども踏まえた冷静な議論が求められている。

文部科学省

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