社会科・地歴公民科教育の現在と未来
12面記事
藤原健剛・杉山清彦・三原慎吾 編著
実践例、共通テストの分析も
本書は、社会科・地歴公民科教育の歴史と現在という過去と現在の把握から始まり、次に中学校社会科、高校地歴教科・公民教科の授業実践例を紹介する。最後に課題として、共著者の三原慎吾氏は大学入学共通テスト問題を分析し、高大接続の在り方を受けて、テストの影響に対応できるように、今後の授業改革の見直しを提案している。
共著者代表の藤原健剛氏は教員養成の立場から中等教育を眺めてみると、現場教師に対して危惧する点があるという。一つ目は、中学校社会科、高校地歴教科・公民教科の授業はカバーする範囲が広いだけに、日々の授業や専門科目の隘路に陥り、教科の全体像を見失ってしまうこと。二つ目は、目まぐるしい社会のうねりの中で民主主義の大切さと脆弱さを意識して若い教師が教壇に立ち続けることができるかを心配している。
そこで本書は、若い中学校・高校の教師や教職課程の学生を念頭に置き、教職に明るい展望を目指して、市民性教育を土台に、教科研究や授業づくりのためのテキストとしても活用できるようにした。社会科、地歴公民科のオールラウンダーたることを目指し、広い視野を身に付け、未来を切り開いていく生徒を育てることを目標としている。教職課程の学生対象に語られた三原氏の「変動する世界で何を教えるか」は教員養成をする上で、示唆に富む内容である。
(2200円 発行 甲南大学出版会 発売 神戸新聞総合出版センター)
(古川 治・元甲南大学教授)

