「自転車の交通安全」に向けた法改正が実施。改正によって何が変わる?
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道路交通法上、自転車は「軽車両」と位置付けられている「車」の一種です。自転車で走行する時は、さまざまな交通ルールの順守が求められる反面、自動車と違い運転免許を取得する必要はありません。
子どもから大人まで、誰でも乗ることができるため、ちょっとした不注意で事故を起こしたり、事故に巻き込まれたりする恐れがあります。
このような状況の中で、自転車の交通ルールの順守と危険運転の防止、迅速な違反処理などを目的に道路交通法が改正され、2026年4月から新たな制度が実施されることとなっています。
本記事では、自転車の交通安全に関わる新たな「交通反則通告制度(青切符)」について紹介します。
自転車を取り巻く事故・違反の発生状況
2024年中の自転車関連事故(自転車が第一当事者または第二当事者になったもの)の件数は、67,531件でした。件数そのものは前年よりも4,808件減少しているものの、全交通事故に占める自転車事故の比率そのものは増加傾向にあります。
自転車乗用中の重傷または死亡事故のうち、約75%ものケースで自転車側にも法令違反があったという事実も問題です。
一方で、従来の自転車の交通違反は、軽微な交通違反に交付される「交通反則通告書(いわゆる青切符)」による手続きがなく、重大な交通違反に交付される「赤切符」などを用いた刑事手続きで処理されていました。
▽赤切符による処理の弊害
・書類作成や取り調べのための出頭が必要で、時間的・手続き的な負担が大きい
・検察に送致されても不起訴とされ、違反者への責任追及が不十分
・自転車関連の交通事故件数は2020年以降横ばい
そのような状況を踏まえて道路交通法が改正され、2026年4月以降は自転車にも「青切符」が導入。16歳以上の自転車運転者が何らかの違反を行った場合、その場で青切符と納付書が交付されます。
出典:警察庁『自転車交通安全』『自転車は車のなかま~自転車はルールを守って安全運転~』、政府広報オンライン『2026年4月から自転車の交通違反に「青切符」を導入!何が変わる?』
児童に必ず伝えたい「自転車安全利用」の重要ポイント
道路交通法の改正によって、酒気帯び運転の罰則強化など、さまざまな規定が整備されました。ながらスマホや信号無視など、重大な事故につながる恐れが高い違反については自転車にも青切符が交付され、反則金を支払うことになるため、注意しなければいけません。
今回の改正の中から、交通安全教室などで特に児童に伝えておきたい内容を、警視庁が啓発する内容をベースに解説していきます。
ポイント1:大原則は「車道原則・左側通行」
「自転車は歩道を走っても良いもの」というイメージがありますが、原則としては「車道を左側通行で走ること」が義務付けられています。
右側通行はいわゆる逆走に当たり、青切符を切られる対象です。
自転車が歩道を通行できるのは、一部の例外なケースに限られます。
▽自転車が歩道を走行できる状況の例
・標識がある
・13歳未満の児童が運転している
・車道の通行が危険な場合 など
歩道を走行できる状況だとしても、歩道では歩行者が優先です。歩行者の通行の妨げになる恐れがある時は一時停止を行うなど、安全には配慮しなければいけません。
また、「普通自転車通行指定部分」がある時はそのエリアを、ない場合は歩道の中央から車道寄りの部分を走ることも規則です。
出典:警察庁『自転車は車のなかま~自転車はルールを守って安全運転~』
ポイント2:一時停止や安全確認などの交通ルールの順守
自転車と自動車の事故は、右左折時の衝突や出会い頭の衝突が多数を占めます。そのような事故で多いのが、自転車側の安全不確認や一時不停止などの違反です。
自転車の交通違反の大半を占めている信号無視や一時不停止といった違反も、2026年4月以降は青切符の対象となります。
「止まらなくても大丈夫だろう(だろう運転)」という意識を捨て、「車や歩行者が飛び出してくるかもしれない(かもしれない運転)」へ意識改革を徹底することが必須です。
出典:警察庁『自転車は車のなかま~自転車はルールを守って安全運転~』
ポイント3:ながら運転の禁止
自転車の「ながら運転」も、新たに禁止となり罰則の対象になります。傘を持ちながらの運転はもちろん、スマートフォンの画面を見たり、通話をしたりしながら自転車を運転する行為も禁止です。
スマートフォンを操作しながら運転をすると、6月以下の懲役または10万円以下の罰金となる恐れがあります。青切符を切られた場合は、反則金として12,000円を納めなければなりません。
ただし、信号待ちなどで停止中にスマートフォンを操作するのは罰則の対象外です。
また、スマホを見ながらの「ながら運転」は自転車運転講習※の対象です。青切符による取り締まりの対象となるのは16歳以上ですが、16歳未満の児童も厳重注意や指導警告が行われる場合があります。
※自転車運転講習:自転車の交通ルール順守を徹底するための講習。自転車の運転で一定の違反行為を3年以内に2回以上行った場合に義務付けられる
出典:警察庁『自転車交通安全』『道路交通法の改正について(青切符についても含む)』、政府広報オンライン『2026年4月から自転車の交通違反に「青切符」を導入!何が変わる?』
児童はヘルメットの着用を
ヘルメットも、着用の努力義務が設けられています。特に、児童・幼児を保護する責任があるものについては「児童・幼児に自転車を運転または同乗させる時はヘルメットをかぶらせるよう努めること」とされています。
保護者や教職員などは、児童・幼児を自転車に乗せる際は、ヘルメットの着用を促すことが重要です。
ヘルメットの有無で致死率が変わるため、中高生にもヘルメットの着用を促すことが求められます。
出典:警察庁『自転車は車のなかま~自転車はルールを守って安全運転~』、政府広報オンライン『2026年4月から自転車の交通違反に「青切符」を導入!何が変わる?』
法改正を機に「交通安全教育」の見直しを
自転車は幅広い層に使われている手軽な移動手段です。一方で、誰でも使えるという手軽さが仇となり、自転車が関与する事故の比率は増加傾向にあります。
特に、児童は安全不確認や出会い頭事故など、油断や慢心による事故が多い傾向にあるとされています。
法改正をきっかけに、世代に合わせた交通安全教育を実施し、自転車の安全性を高めることが重要といえるでしょう。
出典:警察庁『自転車の交通安全教育ガイドライン』

