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東菅(ひがしすげ)小学校の7年間の物語 思考の「すべ」を獲得した子どもたち

13面記事

書評

川崎市立東菅小学校授業研究会 著
角屋 重樹 監修
普通の公立小がチーム一丸で先進校に

 子どもたちの思考力育成は、学校現場で取り組むべき大きな課題になっている。新学習指導要領でも、育成すべき資質・能力の柱の一つとして「思考力、判断力、表現力等」が示されている。その思考力育成に関わる先進的な実践事例として川崎市立東菅小学校の取り組みを紹介している。本書は、昨年度まで同校に勤務していた葉倉朋子前校長が中心となってまとめたもの。同校は普通の公立学校で特別なことは何一つない。そのため、どの小学校でも実践できるという裏返しにもなる。
 大切だったのは、東菅小学校の全教職員が一丸となって研究に取り組んできた点。言い換えれば、「チーム東菅小」があったからこそ授業研究を「思考力育成」に焦点化し、育てたい資質・能力を明確にして具体的な行動に結び付けられた点が大きな強みになった。ベテランと若手が目標を一つにし、互いに教え合ったり、助け合ったりすることで自己革新の機会にもなったという。
 本書は全3章構成。第一章では「東菅小学校の物語」、第二章では「子どもたちの思考を育む『すべ』とは」、第三章では「実践報告 東菅小学校の思考の『すべ』を使った授業」について扱っている。「座談会 東菅小学校ホンネ職員会議」も収録。机の配置や話型、ユニークな掲示など、子どもたちの思考力が育つ学習環境についての事例も参考になる。「カリキュラム・マネジメント」や「主体的・対話的で深い学び」についても学ぶことができる。
(2200円 文溪堂)
(斉)

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