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高校生作文コンクール 「学校賞」受賞校に聞く

11面記事

企画特集

「学校賞」の副賞として寄贈されたデスクトップPC(写真中央)

熊本市立必由館高等学校

 日本大学「高校生作文コンクール」は、高校生が自分の生き方や進路について深く考え、自発的なキャリア形成意識を持ち、学習意識を向上させることを願って、日本大学が日本教育新聞社と共同で企画・主催するコンクール。同大学の創立130周年を記念して創設された。現在、第2回の応募受付が始まっている。昨年度、学年全体でコンクールに応募し、進路意識の醸成につなげ「学校賞」を受賞した熊本市立必由館高校に応募のきっかけや成果について聞いた。

教科やクラスの枠を超え全員応募
作文通じ深まる視点


国語科 竹下 彩佳 教諭

1学年全員が応募
 高校生作文コンクールの特徴は、作文を通して職業観や勤労観、進路意識の醸成、学習意欲の向上を狙いとしている点だ。国語科だけでなく、「キャリア教育」や「総合的な探究の時間」、各教科での探究的な学習と関連付けて取り組むことができる。
 昨年度、第1回の「学校賞」を受賞した、熊本市立必由館高校(城野実校長、生徒数1044)は、全学普通科で、普通、国際、服飾デザイン、芸術の4コースを設置する。部活動が盛んで生徒たちはさまざまな学習や活動に情熱を注いでいる。
 「どのような状況の社会においても将来に夢を持って高校生活を送ってほしい」との思いで教職員が日々、生徒との関わりを深めている。
 そんな中、コンクール応募が生徒のキャリア形成、目標実現のために役立つとの考えから、国語科、情報科、1学年の教員が賛同して取り組みを始めた。国語科では授業で作文の書き方と、情報科でワープロによる文書処理の指導をおこない、書くスキルを高めた。
 同校では生活や学習を振り返る冊子「キャリアノート」を作成し、毎日終礼時に5分間、生徒がその日を振り返って文章としてまとめ、担任とやりとりをしている。昨年度のテーマ「ぼくたち私たちが輝くための未来への挑戦」に沿った具体的な記述ができたのも、日々の文章による対話の積み重ねがあったからだ。
 1校の応募としては群を抜いて295点もの作品が一次審査を通過したことが評価され、受賞につながった。

第三者への発信がキャリア観を深める
 応募までの取り組みを通して「日々関わる中では知り得ない、生徒の新たな一面を知ることができた」と話すのは、国語科の竹下彩佳教諭だ。家族でも教員でもない「コンクール」という第三者に向けて自分の将来を語ることで、新たな視点を得て、考えが深まった様子が見られたという。二者面談や三者面談で活用し、生徒の進路実現、真の自己実現について共に考えるうえで有効活用している。
 同校は修学旅行でのキャリア研修や大学出張講義など生徒が将来に希望を持てるよう、多彩な取り組みを実践している。コンクール応募も、これらを一層推進するものとして位置付けられそうだ。
 全国の高校生に向け、竹下教諭は「表現することで、自分の知らない自分と出会い、それを周囲の人にも知ってもらうことができる。知ってもらえれば、きっと応援してくれる人が現れるはず。コンクール応募の機会を活用し、夢実現への一歩にしてほしい」とエールを送る。

第2回の締切は10月31日
 第2回の作文テーマは「ぼくたち私たちが考える『今』を生き抜く力」。新型コロナウイルスの世界的流行は、人々に学び方や働き方、そして未来の社会のあり方や自分の生き方を見つめ直させる契機となった。先の見通せない時代に、高校生が現状をどうとらえ、将来に向けてどう生きるかを問うテーマを設定した。
 対象は全国の国・公立、私立の高校に在籍する高校1~3年生で、作文タイトルは自由。1200字以上1600字以内で、専用フォーマットに作品を入力し、印刷した用紙を、所定の応募用紙とともにコンクール事務局に送付する。募集は始まっており、締切は10月31日(土)消印有効。
 所定の審査に基づき、「日本大学賞」「優秀賞」「佳作」「学校賞」を決定、賞状と楯、図書カードなどの副賞が贈られる。なお、入賞作品は主催者の刊行物やホームページに掲載される予定。


日本大学 第2回「高校生作文コンクール」募集要項

【応募資格】
 全国の高校に在籍する1~3年生

【応募要領】
・テーマ=「ぼくたち私たちが考える『今』を生き抜く力」
 ※作文のタイトル(題名)は自由。

・用紙・字数=専用フォーマット(Word)に作品を入力しプリントアウトした用紙にて応募。文字数は作文本文を1200字以上1600字以内。
 ※句読点はそれぞれ1字に数え、改行のための空白箇所は字数として数える。

・応募作品=応募は日本語で書かれた作品で、一人1点まで。
 ※応募は個人のオリジナルで未発表の作品に限る。
 ※応募作品は理由を問わず返却しない。
 ※入賞作品の著作権、版権は日本大学・日本教育新聞社に帰属。

・応募締切=2020年10月31日(土)消印有効

・応募方法=コンクール専用HPより応募用紙をダウンロードし作品を入力。必要事項を明記の上封書でコンクール事務局まで郵送。
 ※コンクール専用HP=http://www.kyoiku-press.co.jp/events/2020nu または「日本大学 作文コンクール」で検索。
 ※ホームページから各種資料がダウンロードできない場合は事務局まで連絡を。

【入賞】
個人賞
 『日本大学賞』1点=賞状、楯、副賞(図書カード30万円分)
 『優秀賞』2点=賞状、副賞(図書カード20万円分)
 『佳作』5点=賞状、副賞(図書カード5万円分)

学校賞
 3点=賞状、楯、副賞(学校用備品10万円分)
 ※学校賞は、学校単位で取りまとめて団体として応募することで選考対象となる(「学校応募用名簿」も同封)。

【発表】
 入賞発表=2020年12月

応募・問い合わせ先
 〒108-8638 東京都港区白金台3―2―10 白金台ビル2F
 コンクール事務局・日本教育新聞社『高校生作文コンクール』係
 電話03・3280・7058(受付時間=平日9時~17時)
 コンクール専用HP=http://www.kyoiku-press.co.jp/events/2020nu 

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