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一刀両断 実践者の視点から【第16回】

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第三者委員会を設けたなら

 第三者委員会とは何か。これと同じ機能が期待されているのが教育委員などである。忖度せずに客観視し、社会通念として関係者や国民に納得できる結果にするのが求められる機能のように思われているが、実態は見えにくい。
 その審議結果に被害者が納得のいく事があるだろうか。前例や法律に照らし合わせて「仕方ない」と、諦めさせる事を前提にしているのではないだろうか。第三者委員会が設けられるのは、当事者が納得がいかない事態になっているからであり、より専門性が高い人の意見を得たいからである。
 ここで、専門家について触れたい。誰が専門家と言えるのだろうか。そしてその意見が正しく導きだされているだろうか。
 ある大学教授が第三者委員会の委員長となり、意見をまとめて発表をした。後日、本人に確かめたところ、様々に法の壁があり、あのような結果にしか出来なかったと言い残して、すべての役を辞職された。逆に意見をまとめることに重きをおいて正邪よりも落とし処を探すのがうまい委員長もいる。行政としてはどちらの委員長を選ぶだろうか。
 そして再発させない為に意味のある結果を導き出せた第三者委員会の話は聴いたことがない。こうして第三者委員会が至る所で作られ不毛な論議がされてはいないか。追い詰められ逃げ場がなく、他を恨みながら亡くなった尊い命に向き合う話し合いは、委員個々の全人格を掛けねば出来ない。そしてその判断や意見や思いは自らの墓場まで持っていくことになるだろう。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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