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一刀両断 実践者の視点から【第80回】

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通学時の危険をなくすためには

 《千葉県内の通学路、3495カ所が「危険」》という見出しの記事が出された。だから何なのかと問いたい。何故なら分かりきった事だからである。
 学校は通学路を教委へ報告する。よって、安全かどうかは見回ることになる。しかし、その際に危険と判断したらその後はどうしているだろうか。
 私が赴任した学校の前にある県道では創設以来4名もの児童が亡くなっていると聞かされた。歩道橋は階段が腐食して下が見えていた。歩道は狭く往来が出来ない。そこへ数百の児童が短時間で登校するのである。
 また、正門もお粗末でどこにあるのか分からない。赴任して早速正門の支柱を黄色に塗った。すると教委の部長から勝手に塗らないようにと指摘があり、やむなく元の灰色に塗り替えた。
 また、消防車が入れないために新たに門を作ることにしたが、隣接する道路を拡幅するための土地を購入出来ないために諦めていたところ、夏休みに、いつの間にか職印が使われ、門が地域の造園屋によって作られていた。そこには理由書が添付されていたが、その理由書は教委の部長が私的に作成したものであった。
 これは明らかに利益供与であり、公文書偽造であった訳である。これをきっかけに教委や校長会との全面対決になっていったのは想定内であった。
 仕方なく別の方法で自治会を味方にして土地を購入し教委ではなく副市長主導で梯子車が入る門が出来た。さらに古巣の知人を頼って歩道橋も新設できた。勿論、最初に造園屋によって造られた門は未だに開かずの門になっている。こうした不合理なある意味税金の無駄遣いは多く見受けられるのが現実である。
 危ないと指摘はできても、行動し、改善しなければなんの役にもならないのである。安全を確保するには立場をかけて本気でやらなければ出来ることではないのである。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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