日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

一刀両断 実践者の視点から【第314回】

NEWS

論説・コラム

「君が代」の指導

 《中学校の昼食中に『君が代』、教師の指導に物議。海外との比較で浮き彫りになった“異様さ”》(週刊SPA!)という見出しの記事が掲載された。実にくだらないと思う反面、国歌としての指導がされていない現実がはっきりしたと言える。
 歌を指導する時はまず歌詞の意味を教えて納得してから指導を進めていくようにしてきた。その意味を理解していたらこのような事は起きなかったと思われる。
 この中学校で「君が代」を流した事を問題にするよりは、指導がされていなかった事に反省をして改善をすべきだろう。組合とか生徒が具合が悪くなったとかにすり替えて面白おかしく論議をさせたい意図があるように感じられもする。
 「君が代」を歌わせるか否かで授業もそっちのけで屁理屈を並べて管理職を吊し上げ囲んで糾弾する姿が私が初任の頃よくあった。
 時間の無駄と思って勝手に教室に帰り授業をしていた。すると先輩教師達がやってきて私も糾弾されたが、そのレベルの低さに呆れた。
 君のような青年が私たちの仲間になって欲しいとも言われたが、ドン引きした。今の教育基本法は資本主義を守る憲法なので意味がないと言われて本質が見えた。
 職員会議の場では順番が決まっているように次々に質問や糾弾を浴びせかける。
 市の体育課長の奥さんから「何で徒競走で順位を決めるのですか?ゴール手前で手を繋いでゴールするとか、競争はやめて民舞を」と真顔で話された。この夫婦は大丈夫なのかと思った事を思い出す。
 その後、お一人お一人の先生方の教室を回って意図を確かめていくと、組織的に言わされている事実が見えてきた。私の個別対話が浸透して3年後にはかなり改善された。一対一での対話がある意味とても怖かったようだ。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

論説・コラム

連載