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一刀両断 実践者の視点から【第390回】

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安ければよいのか

 公正取引委員会が公立中学校の制服に関し、コンペ・入札で安くとの報告書を出したという。保護者負担を減らす為としている。安くすることのみが優先されると可笑しな事が起きてくる。少し高くともよいものを与えたいという思いは通用しなくなる。ともかく一円でも安いものとなるからだ。
 自分自身の経験である。体操服も素材が良い物に変わり、汚れがつきにくく、通気性もよく、乾きやすいという物に変える時期を迎えていた。これまでの販売店が閉店して在庫の数も限られたので移行措置として、新たな販路を探して次の体操服にたどり着いた。
 簡単には進まなかった。教頭と教委が内通して、その体操服の販売に際してPTA会長がマージンを得ていると疑いを掛けたのである。誰もやり手がいないのでコンビニの一角を割いてもらった。売り上げも落ちるのに労を背負ってくれたのにもかかわらず、保護者を使って騒ぎ立てたのである。
 高いと言われた。もちろん相見積もりをとってやったので何の問題もない。だが、教委は閉店するならもっと早く保護者にも意見を聞いて理解を図るべきであったと主張した。実際は、来月閉店と伝えられたのだからそんな余裕はなかった。
 すると事が進んでから、実は他の店舗でも同じ商品を扱っていた事が教頭から伝えられた。どうしますか?と私は問い詰められた。以前より勤務していた教頭が教委と結託して次の矢を撃って来たのである。単に安くなるからと形式だけの相見積もりでは、安物ゆえの不具合が起きるのは当然ではないだろうか。真逆に銀座のブランド制服を着せるのも如何なものかとは思わされる。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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