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一刀両断 実践者の視点から【第397回】

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論説・コラム

食事と庶民感覚

 政府内で減税を議論している。数万円の減税で庶民の生活が楽になるからという論調はいかがなものだろうか。食費を切り詰めて生活をした経験があるのなら想像が出来るだろうが、国会議員の一夜の飲食代にもならない額ではないだろうか。
 税金から何千万円ももらってそれに見合った仕事をしているかどうか分からない議員があまりにも多いように私には見えてしまう。
 最近、「サラメシ」という番組に癒される。家族でとか、料理長が従業員の為にとか、様々に工夫して料理を作るあの番組である。中井貴一の軽快なトークで紹介される。ごくごく普段の食事に愛情が溢れて見える。
 料亭で話す政治家に庶民の感覚は吹き飛んでしまっているだろう。醜聞が続いている例の大学の理事長もブランドを見せびらかす低俗さに呆れた。
 こうした庶民感覚のない方々が減税や教育を真摯に考えるのは無理ではないだろうか。金銭感覚はもちろん生活のほとんどがかけ離れてしまうだろう。
 そうさせないのならせめて「ギインメシ」とでもして庶民の感覚は忘れぬ様にしてはどうだろうか。高価な服や靴などを身につけて立ち回る議員を見ると、ワンランク下げて浮かせたお金を他に回したらと感じてしまう。
 私は全国最大規模の小学校に勤務したことがある。市内には学年1学級で小規模な学校もあった。比較にならないほどの様々な案件があったが、給与は同じなのが校長である。その給与も税金である。
 一度議員は、困難校の教諭や管理職をやって生徒や保護者の評価を得られてから議員に立候補してはどうだろうか。そうすれば議員や首長の失言や慢心はかなり軽減されると思う。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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