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学習評価見直し 「学びに向かう力・人間性等」は評定に反映せず 文科省案

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文部科学省

 文科省は4日、中央教育審議会の教育課程企画特別部会の会合で、次期学習指導要領での学習評価について、「学びに向かう力・人間性等」を目標に準拠した評価ではなく、個人内評価とする方針を示した。総合所見欄などに記し、評定には反映させないが、観点別評価の三つの中には残す。指導要録には、学習指導要領の目標を踏まえ、教科を横断した個人内評価として記載する。
 中教審教育課程部会の学習評価ワーキンググループは現行の学習指導要領に改訂後、三つの柱である「学びに向かう力・人間性等」と「主体的に学習に取り組む態度」の関係について、

 (1)粘り強さ
 (2)自己調整

 ―の二つを追加的に評価の視点として示した。あくまで挙手の回数やノートの取り方での形式的なものではない、と強調していた。
 ただ、評定を左右する中で、客観的な説明が可能な材料が必要であるため、「粘り強さ」はノートなどの提出頻度や締め切りを守っているか、での評価にとどまっている実態がある。
 「自己調整」については、教員の負担が大きいことや、教員の期待する表現を意識することで、児童・生徒の学ぶ意欲を下げてしまうこともあるとの指摘もある。
 今回の案では、評定には知識・技能と思考・判断・表現の二つのみを反映させる。学びに向かう力・人間性等は評定に反映せずとも、育成する重要性は一層高まっているとして、観点としては残す方向性だ。
 また、同省は4月に、学びに向かう力・人間性等について、

 ・思考・行動を起こす力・好奇心
 ・学びの主体的な調整
 ・他者との対話や協働
 ・学びを方向付ける人間性

 ―の4要素に整理する案も示している。
 今回、個人内評価を基本としつつも、思考・判断・表現の過程で、それらの要素が特に現れたと判断できる場合には、思考・判断・表現の観点別評価に「○」を付記する提案があった。ただ、○を付けることに対して慎重的な意見も会合では出ていた。
 この他、評定への総括は学年末にのみ行うことが可能であることを明確化するといった、評価の頻度やタイミングについても議題に上がった。

文部科学省

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