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高校の教育課程編成、柔軟化方針へ 必履修免除や科目組み換え 不適切運用の防止策検討

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文部科学省

 文科省は、次期学習指導要領で高校の教育課程編成の学校裁量を大幅に広げる方針を示した。各学校での教科・科目の柔軟な組み換えを認める他、生徒によって必履修科目を免除する仕組みを創設する。多様な生徒を受け入れている高校が実態に合わせて授業できるようにする。

 7月28日に開いた中央教育審議会の教育課程企画特別部会で提案した。教科・科目の組み換えは、教育課程特例校の取り組みを全ての高校で認める内容。必履修科目と関連する選択科目を組み合わせた新科目を開設したり、選択科目の中で必履修科目の一部を教えたりできるようにする。
 こうした科目編成を後押しするため、卒業単位に含める学校設定科目を現在の20単位より増やすことを検討する他、科目の履修学年も柔軟にする。
 特定の科目で学習内容を修得できていると判断できる生徒には、必履修科目を免除する仕組みも設ける。例えば、外部試験で英語力が証明された生徒には「英語コミュニケーションⅠ」の履修を免除することなどを想定している。
 免除した場合、上位科目の「英語コミュニケーションⅡ」や学校設定科目の履修を認めたり、大学の講義を単位認定したりする。詳しい制度設計や不適切な運用の防止策については今後、検討する。「歴史総合」を日本史と世界史に分割するような運用や、大学入試対策に傾倒した運用などを防ぐ方法を話し合う。
 各学校の柔軟な教育課程編成のために単位数の計算を細分化することも提案した。通年で計算している単位を半期に分割し、卒業に必要な単位数を現在の74から148に増やす。これにより高校が学期ごとに単位を認定したり、細かく単位の増減をしたりできるようにする。
 専門高校で取り組まれている産業教育についても見直しの方向性を示した。産業構造の変化や労働市場の流動性が高まる中、共通して身に付けるべき資質・能力を検討し、原則履修科目として提示する。データサイエンスやAIに関連した教育内容などを位置付ける考えだ。

 特別部会で、文科省は子どもの主体的な社会参画を促すため特別活動を中心とした教育内容の改善を図ることも提案した。
 児童会・生徒会活動で、校則など学校のルールの設定に子どもたちが関わることを明らかにする。学校行事についても子どもたちがつくりだす活動であることを明確にする。また全ての教科を通じて、根拠を持った説明や一方的な主張とならない対話をできるように協働的な学びを重視する。
 教員の負担に配慮しながら子どもの意見を反映させる仕組みを整えるため、オンラインの活用や学校運営協議会への子どもの参加を促すこととした。

 
教科・科目の柔軟な組み換えの例

(1)必履修科目と選択科目を組み合わせた新科目を創設
 「化学基礎」と「化学」を一つの科目として複数年で設定する
(2)選択科目の中で必履修科目の一部を教える
 「数学Ⅱ」で「数学Ⅰ」の一部の内容を扱う
(3)学校設定科目の中で必履修科目の一部を教える
 「データサイエンス」に関する学校設定科目で「情報Ⅰ」を扱う

文部科学省

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