日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

高校と地域のパートナーシップ 協働が未来を拓く

14面記事

書評

荻原 彰・小玉 敏也 編著
「持続可能社会の創り手」育成

 著者らが取り組んだ科研費による研究「高等学校における地域協働プログラム成功のためのガイドライン」は、全国調査などで高校での「地域協働の現状把握」「実践的知恵を収集」し「一般化」を意図した。本書はこの研究成果に依拠する。
 高校での地域協働の学びを「地域の伝統校として地域内外の人材を中核的に育成する」や「専門学科を生かして地域の産業や発展に資する人材を育成する」など6類型に分類。このうち「スポーツや芸術・文化活動を通じて地域の知名度やブランド力を高める高校」類型を除き5類型で20校を取り上げた。
 例えば、総合的な探究の時間「閑谷學」などで地域を学び地域を育てる岡山県立和気閑谷高校、地域の観光資源に学ぶ長野県白馬高校など。また、都市部の進学校的な高校の事例を取り上げている点も、近年の人材育成の動向を反映し、興味深い。
 併せて、地域協働を評価するためのフレームワークなどを示し(第7章)、地域協働を効果的に進める際の留意点と課題(第8章)にも言及した。
 「教育」を入り口に協働体験をした生徒が卒業後も地域課題の解決に取り組む姿や、学校での取り組みが時間をかけて、地域に根付いていく様子も紹介され、地域協働的な学びが「持続可能な社会の創り手」を育成するだけでなく、真正の地域協働活動へとつながる契機となる可能性を垣間見せてくれる。
(2640円 学文社)
(矢)

書評

連載