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チーム担任制のはじめかた 子ども真ん中の“自走自在”の学校づくり

12面記事

書評

三浦 清孝 著
時間割作成、評価への対応は

 著者は、京都市立岩倉北小学校校長としてチーム担任制を実践した。チーム担任制とは、「固定的な学級担任を置かず、複数の教員が学年全体を担任する制度」のことである。著者の「子ども一人一人が通いたいと思う」学校をつくりたいという思いに、チーム担任制がその答えの一つになるという。
 本書では、「子ども一人一人を多面的に理解し、多様な関わりができる」などのチーム担任制の持つ六つのメリットを示すとともに、チーム担任制を組織する際の課題を明確化し、その解決策が示されている。例えば、教科の担当は…、時間割の作成は…、学習評価は誰が…など対応策は具体的で、さらに新規採用教員が一人で学習評価をしなくてよいことや、年次有給休暇を取りやすくなったことなどの二次的なメリットも挙げられている。
 また、保護者のチーム担任制理解への働き掛けについても、メリットを示すだけでなく、保護者目線での心配事を例示し、その回答を示している。子どものことで学校へ連絡を取るときはどうするのか、個人面談、家庭訪問は誰が行うのか、宿題のチェックは…、通知表の所見の記入は…、卒業式の呼名は…など。
 「Ⅲ部」の導入前、導入後の学校からのQ&Aもチーム担任制を始めるために大いに参考になる。一読後、チーム担任制に取り組もうとする読者も多いのではないだろうか。
(2530円 教育開発研究所)
(小山 勉・東京未来大学特任教授)

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