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10代から身につけたい探究型思考力 アカデミックマインド育成講座

18面記事

書評

西岡 壱誠 監修 東大カルペ・ディエム 著
問い、仮説、検証の過程 例示

 「なぜ空は青いの?」「雨はどこから降るの?」。周りにあるもの全てが不思議で、成り立ちが知りたかった子どもの頃。時には親を困らせるくらい次々問いの湧いてきたあの心を、いつか人は忘れてしまうのだろうか。本書が示す「探究型思考力」=「アカデミックマインド」とは、幼い頃、誰もが抱いたように日常の中で「問い」を持ち、その問いについて「仮説」を立て、その仮説を「検証」するという一連の思考法のことである。このように自分で考えた学びは、受動的に学んだことよりも記憶に残りやすく、他の問題への応用も可能なのだという。
 著者の東大カルぺ・ディエムは、東大に「逆転合格」を果たした多数の東大生から成る集団で、全国の小・中学校、高校で勉強法や「アカデミックマインド」を伝える出張授業を実施している。本書は、親しみやすい言葉遣いとイラストや写真を含む2色刷りの体裁で、問い、仮説、検証の各プロセスを、数多くの具体例で実践できるワークブックになっている。
 主体性を求められる大学での学びの姿勢を10代のうちから身に付けることは、探究型の出題の増加する受験で有利なだけでなく、「これからの社会で活躍するために必要」と述べられる。問いも答えも一つではなく、思考するプロセスを重んじる。自分なりに苦労して導いた解は、深い充実感をもって、その子の心に刻まれるのだろう。
(1760円 東京書籍)
(井藤 元・東京理科大学教授)

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