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先生を続けるための『演じる』仕事術

14面記事

書評

松下 隼司 著 今 じんこ イラスト
周囲と円滑な関係築く工夫とは

 「教職1・2年目の頃は、『仕事を続ける』か『死ぬ』かの2択でした。その私が仕事に対して前向きになったきっかけが、”教師の職”を演じるというマインドチェンジでした」と著者は冒頭で述べている。
 「教師は五者たれ」という教師の多様な役割を例えた言葉がある。その中に「役者」が含まれている。本書では、「教師は役者のように子どもを魅了する授業や対応をしなさい。子どもが主役になるように」と書かれている。
 本書は全5章で構成しており、第1章では、教師役を演じて気付いたメリットが四つ示され、演じる工夫が記されている。第2章は、「パワハラ・カスハラへの演技対応」で、「暖簾に腕押し」「柳に雪折れなし」のような演じ方などが12個示されている。第3章では、「子どもへの怒りを鎮める演技」として、「刑事のように自白を迫るのではなく、弁護士のように寄り添うイメージで対応する」といったアンガーマネジメントに基づく演技の視点が紹介されている。第4章では、「職場で愛されキャラを演じるポイント」を、著者いわく、「したたかであざとい演じ方」11の提案がある。そして第5章は、「『演じる仕事術』のポイント」として、気持ちがしんどいときに、仕事モードに切り替える手だて等が示されている。また、各章の最後のコラムにも心動かされる。
(1980円 かもがわ出版)
(中川 修一・前東京都板橋区教育委員会教育長)

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