保護者からのハラスメント対策で指針案 面談は30分以内、弁護士同席
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保護者らによる過剰な要求や暴言などのハラスメントを防ぐため、東京都教委は6日、学校向けの対応ガイドラインの骨子案を公表した。面談時間に上限を設け、繰り返し面談を求められる場合には弁護士に対応を委ねることもできるとした。関係がこじれて長期化する場合には、弁護士らでつくる専門家チームを学校に派遣する案も盛り込んだ。区市町村教委とも共有し、小・中学校でも参考にできるようにする。
今年4月にカスタマーハラスメント(カスハラ)防止条例が施行されたのを受け、都教委は5月から有識者会議で学校現場での対応を検討してきた。
骨子案では、過剰な苦情や不当な要求への対応手順を示した。面談は平日の放課後に1回30分まで(最長1時間)。必ず複数の教員で対応し、3回目からは管理職、4回目以降は弁護士などの専門家が同席する。
5回以上に及ぶ場合は、弁護士が学校の代理人として対応する。また、必要に応じて弁護士や医師、心理士などの専門家でつくる第三者組織「学校と保護者等との関係推進コミッティ(仮称)」に相談できる。学校は対応を弁護士に切り替えた後も、児童・生徒の見守りや対応した教員のメンタルケアを行うとしている。
暴言や暴力、長時間居座るといった言動がある場合は警察に通報し、SNSでの誹謗中傷削除を要請する。
面談時、保護者に録音は認めるが、録画は不可とした。今後は、保護者らとの面談や電話は必ず録音することを基本とし、一部のモデル校では面談時の録画を試行する。学校の電話への録音機能の整備など、関連経費については来年度予算案に盛り込む考えだ。
同日の有識者会議では骨子案について非公開で議論した。都教委の担当者によると、「全国の教育現場の参考になる」などの肯定的な意見が出た一方、「面談回数を示すことは分かりやすいが、対応が硬直化する懸念もある」「保護者に敵対していくと受け取られかねない」として表現を工夫するよう訴える声もあったという。
都教委では意見を踏まえて内容を検討し、本年度中にもガイドラインを策定する予定だ。

