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性教育の「はどめ規定」 撤廃求め院内学習会 署名提出へ

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学習会で報告する“人間と性”教育研究協議会のメンバーら=25日、参議院議員会館

 学習指導要領にある性教育の「はどめ規定」の撤廃を求め、学校や大学の関係者らが25日、参議院議員会館で学習会を開いた。性に対する正しい知識を子どもたちに理解してもらう上で「はどめ規定」が教育現場の萎縮の原因となっているとして撤廃を訴えた。

 学習会は“人間と性”教育研究協議会が主催した。同会では学習指導要領の改訂を前に、はどめ規定の撤廃を求める署名活動を行い、この日までに4万筆以上を集めた。
 性教育について現行の学習指導要領の中学校保健体育では「妊娠の経過は取り扱わない」とする、いわゆる「はどめ規定」を設けている。ただ、文科省は過去の国会答弁で「教えてはならないものではなく、学校が必要と判断する場合に指導したり、個々の生徒に対応して教えたりすることはできる」とする見解を示してきた。
 一方で同省は令和5年から「生命の安全教育」を全国で展開しているが、性暴力の未然防止を目的としており、性交や妊娠についてはほぼ扱われていない。
 学習会では協議会のメンバーや賛同者が報告した。埼玉大学の田代美江子副学長は「はどめ規定」について、学習指導要領が本来の基準ではなく上限として扱われており、制度としての正当性を欠いていると指摘。国連の求めている包括的性教育の実践を阻害していると訴えた。
 東京都の中学校の保健体育科教員で、長年性教育に取り組んできた樋上典子さんは、高校生から急増する性感染症や人工妊娠中絶の件数などを挙げ、学校の場での性の学びが必要だと指摘。自身の性教育の実践事例を紹介し、初めはふざけていた子どもたちも意識が変わると話した。
 性教育は保護者や地域からの批判の声に学校が委縮していて実践が広まらないが、「子どもたちの性の安心安全のことを考えれば必要な取り組みだ」と必要性を訴えた。
 教育評論家の尾木直樹さんは、学校現場が性教育を実施しやすいように文科省が明確なスタンスを示すべきだとした。
 次期学習指導要領に向けた議論では、保健体育のワーキンググループが過去3回開かれているが、これまでに性教育のはどめ規定については検討事項に挙がっていない。

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