保護者ハラスメント対策へ 都教委がガイドライン案
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保護者からのハラスメント対策に向けて東京都教委は2日、ガイドライン案を公表した。社会通念を超える言動の例として、土下座や過度な謝罪の要求などを示した。年度内にも都立学校や区市町村教委に周知する。
基本方針には「児童・生徒の利益」を第一に掲げ、児童・生徒の意向を大切にすることを明記。互いに尊重し合い、連携することを求める。保護者との対立煽動はガイドラインの目的ではない。
その上で、これまで明確でなかった不当要求への対応について、都教委としての考えを明示した。
社会通念を超える要望の例として、
・教育活動の細部に対する過剰な干渉や要求
・評定の変更や内申点に関する不当要求
・担任の変更・異動・辞任要求
―などを挙げた。
そのような言動への対応手順も示した。面談は平日の放課後に30分を目安に行い、複数の教員で対応。電話であってもサポート役を置き、通話者と交代しながら話を聞くなど、複数人が関与するようにする。その際、事実関係を記録のため、やりとりを録音する。
面談が3回以上となったら管理職を中心とした対応とし、面談に加わる。4回目以降は弁護士などの専門家が同席し、状況に応じて弁護士に対応を委ねる。
侮辱的・差別的・性的な言動を受けた場合には対応を終了。暴行・脅迫は警察へ通報する。
ただ、より良い関係の構築のためには日頃からの対応も重要だ。教員に傾聴・受容・共感する姿勢や共に子どもの成長を考える態度を求める。一人で抱え込まないことや、報連相の徹底などを通じて丁寧な対応を心がけることとする。都教委は今後、全教員に対応力向上研修を実施する予定だ。
都教委ではこれまで有識者会議を設置してガイドラインを検討。2日の会合では案への賛同を得た。来年度以降、運用していく中で適宜見直しも進める。
社会通念を超える要望の例
・教育活動(授業内容、宿題の量、座席など)の細部に対する過剰干渉や要求
・声を荒らげ、執拗に責め立て、高圧的に自らの要求を主張
・長時間の居座り、電話
・何度も電話し要求を繰り返す、家庭訪問を何度も要求
・多項目に及ぶ質問に対する書面回答の要求
・校内の無断撮影
合理性を欠く不当・過剰要求の例
・土下座の要求
・過度な謝罪要求
・評定の変更や内申点に関する不当要求
・担任の変更、異動、辞任要求
・公平性を著しく欠いた、特別扱い要求
・教職員個人対象の損害賠償や慰謝料の要求

