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学校でAIを利用する際の注意点~「使いこなす力」と「疑う力」を両立させるスキルを身に付ける~

12面記事

ICT教育特集

「権利保護」と「情報セキュリティー」

 学校でのAI利用における「権利保護」と「情報セキュリティー」は、AX推進の最優先事項だ。そこで、文科省の「生成AIの利用に関するガイドライン」に基づき、特に注意すべき点を整理する。
 個人情報の取り扱い(プライバシー保護)は、AIに情報を入力する際、最も慎重になるべき点だ。生徒の氏名、住所、成績、家庭環境、特定の個人の顔写真などを入力することはNGだ。「K君の通知表所見を書いて」ではなく、「粘り強く努力する生徒の長所を伸ばす所見案」といった抽象的な表現に置き換える必要がある。
 また、通常の無料版チャットサービスでは、入力した内容がAIの学習(再利用)に使われる設定になっている場合がある。学校では、入力データがAIの学習に使われない「オプトアウト設定」や、API利用、Azure OpenAI Serviceなどの法人向け・行政向け環境を利用することが推奨される。
 著作権の扱いでは、AIが生成したものを使う際と、既存の著作物をAIに読み込ませる際の2つの視点が必要だ。

 ・生成物の権利=AIが生成した文章や画像は、そのままでは著作権が発生しない場合がある。また、AIが既存の著作物をそのまま出力してしまった場合、それを公開・配布すると著作権侵害になるリスクがある。
 ・既存著作物の利用=授業目的であれば、改正著作権法第35条により、他人の著作物をAIに読み込ませて教材を作るなどの「教育目的の複製・公衆送信」が一定範囲で認められている。ただし、ドリルや参考書など、本来購入して使うべきものをAIで丸ごとコピー・加工することは、著作権者の利益を不当に害するため禁止されている。

情報を取捨選択する力を養う

 さらに、AIはもっともらしい嘘(ハルシネーション)をつくことがある。特に歴史的事実、最新の法律、科学的データなどを教材にする場合は、必ず教員が信頼できる一次情報(公的機関や専門誌)と照らし合わせてファクトチェックを行うことが不可欠だ。
 児童生徒への指導(情報モラル)では、宿題や読書感想文などで、AIの生成物を自分の成果物としてそのまま出すことは、不適切な学習行為であると指導する必要がある。
 生成AIの弊害の一つが、検索結果の上部に自動表示される「ブラウザAI要約」を子どもがそのまま学習に転用するケースの増加だ。学校現場においては、AIが提示する情報は「正解」ではなく「参考情報の一つ」に過ぎないことを明確に指導する必要がある。その上で、複数の資料や一次情報に当たる、出典を確認する、内容の妥当性を自ら判断し、自分の言葉で再構成するなどといった情報活用能力を体系的に育成することが重要だ。
 教員は、AIの利便性を否定するのではなく、その特性と限界を踏まえた活用方法を示し、「使いこなす力」と「疑う力」を両立させることが不可欠である。こうした指導こそが、これからの情報社会における主体的な学びを支える基盤となる。

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