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教員養成の現場から【第4回】

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「意識持てば中堅」の時代

 「教員の養成・採用・研修の一体的改革事業」受託2年目は、中堅層を巻き込んだ「若手教員育成体制の構築」を課題とした。全国の県や政令市教育委員会で整備が整った教員育成指標の活用実態を調査し、シンポジウムを行った。また、若手教員育成セミナーも前年同様に続け、若手教員の実態に合わせたサポート体制を探った。

 校内にメンターがいることが重要であることは前年の調査で分かった。しかし、現実には全国どの学校でも中堅層が薄いという現状がある。そのため、「年齢ではなく中堅意識を持った時点で中堅教員」という声がいくつかの教育委員会担当者から聞かれた。
 どの県市でも教員育成指標は3段階となっている。若手、中堅、熟練の年層である。しかし、校内に若手ばかりしかいない現状では、いつまでも若手でいられない。早期に学校の中核を担う中堅層になる必要が生じている。
 教員育成指標をどのように活用しているか全国調査を行い、特色ある取組を行っている地域に視察調査を行った。調査の結果、学校現場におけるOJTと学校を離れて行うOff-JTを各教員の任意で行うのではなく、管理職や教育委員会の方針に基づき、関連させて実施していることが共通していた。
 また、各教員が自分の教職キャリアについて意識しながら研修に取り組むことが肝要であり、そのためには研修履歴を各教員自身が把握している必要がある。教員育成指標、研修履歴、自己の教職キャリアへの意識づけがキーワードとなる。

 県や政令市の教育委員会に呼びかけシンポジウムも行った。シンポジウムでは仙台白百合女子大学の牛渡淳教授により「教育育成指標のねらいと活用?中堅・若手の育成を中心に」というテーマで基調講演が行われた。
 教師教育改革における3つの原理として「基準による質保証」(コアカリキュラムや育成指標の導入)、「参加と連携による教員の質保証」(育成協議会設置)、「実践的力量を高めることによる教員の質保証」(カリキュラムマネジメントの教職課程への導入)という話題提供があった。また、学びと成長の場としての学校現場の重要性とOJTやOff -JTの組合せ、指標に基づいた学びの蓄積の工夫について示唆があった。その後行われた分科会では、東日本の11市県の教育委員会担当者による発表が行われた(詳細は次回)。

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