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大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」【第33回】

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いざとなったときに生きるネットワークの作り方

 有効活用できるネットワークは、コミュニケーションの産物とも言える。ひとつの事象や事件事故が起きた場合、これまでに関係した人々とのつながりが際立ってくる。家族、友人、恩師、同僚、先輩・後輩の事である。
 ポイントは、相手との関係を大切にしていればいざという時、有益な味方となる。

 「大切」とは、

 (1) 会った翌日には礼状を出す
 (2) 折に触れ葉書やメールでも「いつぞやは御世話になりました。お元気でいらっしゃいますか」と、忘れずに発信する

 ことである。

 教え子や、縁ができた方から歳暮等が届く、お断りしても届く、権力も権限もないのに「特別の恩があります」との返事に、正直、思い当たる事が見つからないということがある。自分自身も恩人友人に中元や歳暮、季節の便りは欠かさない。
 ポイントは「忘れない」事である。人のためにしてあげたことは忘れても、してもらったことは忘れない。さらに恨みも引きずらずにスパッと忘れ、些細な恩は忘れない事である。こうした人間関係を持ち続ける事が気付くと「心の財」を積んでいるようだ。

 これを授業の中で、どう教え、考えさせるか。ネットワークすなわち「人と人のつながり」は、励みにもなれば、ストレスにもなる。
 ポイントは、私利があると長続きしないということである。意図して損をすると、思わぬ得をする時がある。これは必然なのである。「豊かで貧しい人」がいると共に、「貧しくとも豊かな人」がいる。
 二宮尊徳の水の喩えに重なる。「損得」ではなく「尊徳」こそが人を繋げ、人を生かす事を、多くの実例から考え論議させる場面を意図的に組み込みたい。それが出来ないのは、しないからである。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」