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大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」【第34回】

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論説・コラム

多忙に拍車をかける調査類

 文部科学省の大臣や課長達と直接話すと、同じ思いなのに、施策が学校現場に下りてくるとかなり事務的になり、現場の負担が増える。どうも増やしている気がしてならない。
 勤務がブラックと認めながらも、さらに現場の仕事を増やしている矛盾があるのは何故か。特に事務処理に費やす時間は多い。ならば事務を極端に減らせばいい。
 なぜ出来ないかご存じなのだろうか。何でも書類にして自分達の手元に置き責任追及に備えるからではないのか。

 それは、学校や教師が必要な事務ではなくて、行政が必要なものや議会対応の急な調査がよくある。議会の質問事項も教育関連は多い。すると如何なる質問にも回答できるように準備する事になる。これが想定問答となり、次々に調査をかける必要が生まれる。
 それが縦割りで様々な部署から調査が来たらどうなるだろう。似たような調査が重なって来ることは少なくない。すなわち垂れ流しなのである。

 このような事を何十年と繰り返して、教師と子どもの時間や、教師同士の情報交換の時間を奪ってきたのである。その張本人は、本来であれば、学校の多忙を軽減するはずの議員であり、行政なのである。
 なぜそれがまかり通るのか。文部科学省や教委には「文句を言う客」がいない。次々と調査を流してもやってくれる下部機関が学校と勘違いしている。
 子どもの為に、学校の為に行政や政治があるのではないのか。多忙に拍車をかける調査類を制御し、打ち切る部署が必要である。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」