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大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」【第74回】

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採用試験とICT

 もし、新型コロナ問題が終息せずに教員採用試験を実施すると仮定したら、どうなるだろうか。

 以前、一般教養などの筆記からマークシートの択一式にして電算処理を進言した。大反対を受けた。「空き時間に、やれるならやってみろ」と嘲笑いされた。通常業務を終えてから開発に一人で取り組んだ。
 マークシートの線を定規で引きながら、択一式問題を構成した。読み込めるか確認し、集計や検索については「桐」ソフトを独学してプログラムしてみた。

 翌年にはそのやり方で実施することになり、印刷代や採点が軽減され、開発費はゼロでやれたため、その分を他に当てることが出来た。しかし、浮いたお金はすべて財務に吸い上げられた。現在は当たり前のように行っているが、その開発や立ち上げのストーリーは忘れ去られるものである。

 今ならどうするだろうか。私ならこの状況を逆手にとり、出来るだけICTを活用する。勿論、業者にも提案して大胆な発想の転換を試みると思う。
 具体的には、試験会場を確保して、距離を開け、択一問題と記述問題を携帯などで行う。携帯などのない者には、業者から貸し出す。
 面接は「三密」を避けて行うことが可能ならばよいが、ダメな場合は、Zoom等の環境を会場に作って集団討議や集団面接、模擬授業等を行えないかと思案するだろう。何事も出来ないと決めるのも出来ると考えるのも、心が決めている。

 初めから理解者は出ないが、忘れ去られた頃には、そのやり方が当たり前になっていることがある。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」