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コロナ時代に考えたい学校問題【第3回】

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見過ごすことは見捨てること

 学力格差は取り戻せるのか。結論は如何なる手を打っても意欲は停滞し、学びが遅滞し忘却している。この状況における効果的な手法を探しながらも児童生徒との距離は依然広がったままである。

 分散登校や、人と人の距離を取ることで起きる問題ははっきりしている。
 分散登校となると授業時間は短くなる。ある中学生から話を聞いた。その中学生の学力は最下位に近く、塾ではついていけないし、家庭教師でも手に負えない。経済的にも余裕がない。相談を受けてZoomで週2回補習をしている。
 ご家族から、意欲が増して来たようです、と嬉しい反応を寄せて頂いている。子どもの理解の様子に合わせながら進めている。当たり前の事をしている。それが日常の学校や塾では、面倒な為にされていない事が痛感される。

 見過ごされているのが、大学の授業である。大学生は卒業すると多くは就職して社会人となる。この育成が止まっている。バイトと学業のリズムが崩れ、自己管理が求められている。
 私は現大学で正規の授業に加えて、「道場」という場を設けている。わずか50分だが、週に3回、昼休みに実学を重ねている。その成果が年々際立ってきた矢先のコロナである。しかし、Zoomを駆使して昨年以上の結果を出すと決意している。それは「やればできる」ことだからである。
 教育組織でもZoom等を存分に使って、講演や講義をどんどんやればよいのに、まだまだ足踏みしている教師が多い。道具としての使い勝手はきわめてよいのだから、正常に戻るのを期待したいが、「座して瞑想に耽るよりも、動いて、聞いて、試してやればよい」。それは教師のすることである。「見過ごしていること」は、「見捨てていること」である。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題