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コロナ時代に考えたい学校問題【第10回】

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教員の資質を高めるには

 教員の資質をいかに高めるか。この事に苦慮する育成、研修そして学校現場がある。しかし、その成果も一部の不祥事で全てが否定されかねない。教育への期待があるからこそ、不安や怒りが増幅する。幼稚な失態を取り上げる報道を見る度に歯がゆく思えてならない。
 個々のコンプライアンスはどのように高めればよいのだろうか。隠蔽や対応の遅さに言い訳は通用しない。誠意はスピードだからである。

 法律家や研究者などを講師として話をさせても効果は薄いと私は常に指摘してきた。
 荒れている高校の講演者を探して欲しいと言われ、ある人物を紹介した。これに先立ち、喫煙防止についての話を生徒に聞かせたところ案の定、生徒はざわつき、まともに話を聞かない事態になった。これは想定された事であった。その為に彼を紹介した。

 彼は、全体を見渡し、間をおいて、夏にも関わらず着ていた長袖の下着を脱ぎ、背中を生徒へ見せた。そこには般若の見事な刺青が浮き出ていた。そこで彼はこう話した。「俺も、たかがタバコから始まった。お前達もこうなりたいか?」と、さらに生徒の中に入って行ったのである。
 生徒の姿勢は一変して静まり返った。あっという間の講演となった。要は、再生への試練と苦難する当事者を招聘し、直接話を聞く事がコンプライアンスでも必要と私は考える。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題