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コロナ時代に考えたい学校問題【第18回】

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世襲の難しさ

 わが子を自分と同じ職に着かせたいと思う親と、それは避けたいと思う親がいる。教師の子どもが教師になる事は意外と多いのではないだろうか。肝心なのは、その理由である。
 「やりがいか」「安定か」の何れかと問われたら、本音はどちらに力点が置かれるのだろうか。こうした世襲は、開業医や政治家にも起きている。
 勧めはしたが私の子どもは誰一人同じ道を選ばなかった。残念な気もするがそれでよかったように思える。

 世襲自体は否定しないが、「何のために」が必要になる。
 世襲でやっていた事業が、このコロナで次々につぶれていっている。創業の苦労や歴史に幕を下ろさざるをえない状況が続いている。
 その姿を見ている若者は、今後、事業を自ら始めようとするだろうか。一番の怖さは、若者の意欲を削ぐことである。その結果が国と世界の活力を奪うことになるからである。

 裕福な家庭に育つ後継者にまともな人物は、極めて育ちにくい。現在の政界を見ても如実であり、これまでの歴史を見ても明らかではないだろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題