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コロナ時代に考えたい学校問題【第26回】

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世の中の裏表知る教師に

 今という時代に求められる教員の養成は、現在の養成系大学の体制では、かなり無理があると感じる。関係者皆が感じているはずである。世間や社会や政治などの実際を知らないで、教師には、なれないからである。ある意味、世の中の裏も表も知ってから教師になるべきである。そうでないと子どもの生活環境や親の仕事や心理は読み取れないからだ。

 そこまでやるのか、と疑問もあるだろうが、小学校に副担任は配置されないから、ほぼ全員が担任としてスタートする。それを想定して教員育成がされているとは思えない。また、そこまで踏み込んだ指導の出来る教員は、極めて少ない。

 非常勤で教えている大学の学生が「一年から教員採用試験対策講座があるんです。元校長が担当するのですが、全然役に立たないし皆が寝ています」と、個別指導を懇願してきた。
 早速、講義を傍聴したが、面接官をやった経験のみで問題集のコピーを配布していた。私は、面接官に基準を説明し、企画・運営・判定を長年やってきたので、この講義がどこまで有益かが分かった。学生の懇願は納得出来た。すなわち試験対策でなく、教員として人間としての本質を鍛え上げる訓練をベースにしないと、メッキはすぐに剥がれてしまう。
 この低倍率の中で質の低下が指摘されても、人物を育てる事は出来る。そうした根幹を鍛える域の授業に、今までのところ、一度も出会わない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題