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コロナ時代に考えたい学校問題【第30回】

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教師こそ変わらねば

 近年、私立大学の授業が変わろうとしている。それは質の担保として、社会に求められる人材を育成する機関としての意識を持たねばならない、と文科省は実を取る形で強く求めているからだ。すなわち、教えるべきこと、考えさせること、論議させることを明確にし、その上で魅力的な授業をせよ、と言うことである。

 私は県の主席指導主事として管内の学校をくまなく周り、個々の教師と対面して授業指導を重ねてきた。自己採点を新採用教員に聞くと、「0点です」が居れば、「100点です」との答えもある。ベテランに聞くと「40点です」と話す。自己採点とは、そのようなものなのである。
 そこに躊躇せずに指導を入れ、改善を試みて、期待をもって再度参観しても、なかなか変わらない。そこで、やって見せると、その変容は倍加する。これを大学でやれるだろうか。

 概して、大学の授業は講義式の典型である。それも必要ではあるが、研究者にするのではなく、実践者を育てなければならない。幸いにも、本学は、教職課程の先生が一堂に会して授業に参加し、他の先生の授業を参観する講座が複数設けられている。それは自ずと学び合う場であり、課題を共有する場となっている。
 授業の工夫や知恵を真似て、取り入れて、ビルドアップしていく。教師が変わった分しか、児童も生徒も学生も変わらない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題