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コロナ時代に考えたい学校問題【第71回】

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かつての勤務校を訪ねて

 担当している学生の教育実習先となった学校の校長から直々に連絡をもらって訪問させて頂いた。実は私が10年ほど前に校長として勤務した小学校である。出迎えて頂いたのは、あの懐かしい同僚の笑顔であった。何と嬉しく贅沢なことかと感じた。
 校長室に掲げられた写真も代を重ね、私以降4枚も増えていた。子どもたちの挨拶と笑顔は学校が楽しい事を感じさせてくれた。
 校長室に顔を出した3人の女の子の輝く笑顔には驚いた。こんな素直な子ども達が居たのかと思うほどの爽やかさに忘れていた感性がわき上がるのを感じた。これから授業参観する学級の児童であった。この生き生きとした姿に、あの頃の自分は何と幸せだったのだろうと回想した。
 予定の授業参観もさせて頂き、子どもたちに支えられる実習生の姿に、微笑ましさと懐かしさと、豊かに育ちゆく子どもたちの成長も確認できた授業であった。
 学習は地域から素材を引き出し、地域へと繋げることが、主体的な学習にさせるポイントになる。実績や結果を知っても心には残りにくい、だからこそ、足元の地域との関連を繋げて学ばせる取り組みが必要なのである。そんなアドバイスをさせて頂いた。

 帰りがけに、当時から10年以上関わっている子どもとの継続的な繋がりを伝えた。その子に「学校では、校長先生があなたのお父さんなんだよ」と、話した事が切っ掛けになったことも思い出した。何事も原点があるものである。
 教育実習の模様を見に行ったつもりが、校長奮闘記を早送りしてお伝えし、懐かしい皆様の顔を重ねながら至福の時を過ごす事が出来た。これもひとえに、当時は教務主任だった現校長に呼んで頂けたからと心より感謝をしている。そしてこのコーナーの愛読者でもある。深謝。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題