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コロナ時代に考えたい学校問題【第89回】

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「大事なこと」を教えていない

 ピアサポートをご存知だろうか。同じような立場の人同士で、語り合い、聞き合うといった支え合いの活動である。出来るならその話の中に、「家族」「恋愛」「セックス」「死」を加えてもらいたい。これらは大事なことであるが、子どもたちには誰も教えていないのではないだろうか?
 授業では、教えること、考えさせること、論議させることを押さえて臨むことが基本と私は教えている。であるならば、何故、これらの項目を人として大切な事であるとしっかりと教えもしなければ、考えさせもしないで、論議もさせないのだろうか。
 仮にどの発達段階にすべきかと問われたら、出来るだけ早い時期の小学校中学年辺りからではないだろうか。思春期に入る前に位置付けて、丁寧に学ぶ機会を設けるべきと私は考えている。
 知識偏重の社会では欲の満足はあっても、幸せや人としての満足は簡単には得られない。
 肉親間での殺人と、教師による教え子への不祥事が毎日のように報道されている。この2つに共通するのは、本来は、幸せになる、幸せにするという、幸せに一番近い位置に存在する関係の間で起こっている点ではないだろうか。
 この根幹をじっくり教えない。考えもさせない。そして、論議もさせないのだから、因果応報で、一番敏感で揺れ動く時期に自己を見失い孤立化し、妄想に走ってしまうのではないだろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題