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コロナ時代に考えたい学校問題【第120回】

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教師から生徒への性暴力

 ある女性が中学生だった15歳のとき、男性教師から性暴力を受け、19歳になるまでわいせつな行為が繰り返されたとして、札幌市と男性教師を相手取り、損害賠償を求めた裁判を起こしている。本日、その判決が出たと報じられている。
 私も職員から相談を受けたことがある。小学校5年生の時、部活動の顧問に、3人の女子が別々に体育館呼び出され、鍵を閉められマッサージと称して「いたずら」をされたという。いつも大会では好成績を出す有名な先生なので、親も信頼していたから、親には話していないとのことだった。その教師が交流で隣の市から帰ってくる事を知って恐ろしくなり、すがる思いで私に相談に来たのだ。
 このうちの2人は、看護師になった。トラウマにより、海外で仕事をしているが、さらなる被害者を出さないためなら、何時でも証言すると言っていると教えてくれた。
 私は、早速、教委へその件を伝えたが、その対応は、今回の裁判に関する記事とよく似ていたし、さらに酷かった。
 「何で今頃言うのか」「時効でしょ」「聴取をしたが、マッサージですよ」と、話しているので、証拠がないと誰も公にして処罰を与えようとはしなかった。ありとあらゆる機関へ手を打ったが、「何で今頃」の回答ばかりであった。最後の頼りに人権委員会へも相談したが、話は聞くが相手にはされなかった。
 さらに、その人物が管理職試験を受ける情報が入った。体育関連の仲間らしく教委も守る幾重にもシフトを敷いていた。
 仕方なく、新聞社支局長と県警の友人に相談をして事実を確かめたが、それでもとぼけて「覚えてない」の一辺倒だったらしい。
 この弊害は、欲望と権力の渦が何処にでも起き、子ども達の未来を奪うという事実である。仕置き人がいれば、お願いしたいところだ。外見では、なに食わぬ顔をしてそれなりの家庭を築いている。本人は忘れたいのだろうが、3人の女性は、未だにその時のトラウマから逃れられてはいない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題