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コロナ時代に考えたい学校問題【第143回】

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学校設置者に判断できるか

 文部科学大臣の萩生田氏は、修学旅行の実施に前向きな発言を続けている。学校設置者に判断を求めている。これに対して不満が吹き出ている。文科省の考えは当然かもしれないが、それを判断するスキルがあるだろうか。現場を知らない方々に千種万様の指示ができるだろうか。基準は出すべきであろうが、現場を知らず、現場と繋がっていないとそれすら無理だろう。
 ここで言われる設置者とは、公立学校の場合、自治体の事である。設置者に判断ができるだろうか。するとなれば「やらない」か「学校の判断に任せる」になるだろう。すなわち責任問題を先へ先へと送っていくことになる。「最大限の配慮を」と責任は取らないながらも、気持ちはあるとしたのだろう。こうした曖昧な表現しか出来ないのは、文科省や教委の責任だろうか。そうさせているのは議員や首長ではないだろうか。そして、議員や首長を選んだのは紛れもなく主権者自身なのである。
 よって、相談窓口を設けてリスクマネジメントに長けた方々を集めて対応させてはどうだろうか。苦しいときこそ、本性は分かりやすくなるものである。
 天候により、運動会や体育祭の実施にやきもきする事は多くある。隣の学校は延期、うちの学校は実施と判断が分かれる事はよくある。その点からすると教委から一任された方が私ならやりやすい。長としての判断力を発揮出来るのだから面白いと捉えてやって来た。その時が一番緊張したし、腹をくくった気がする。今は訴訟保険があるので、それも良いかもしれない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題