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コロナ時代に考えたい学校問題【第156回】

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生命体としての自覚

 コロナ禍の中で、人間も生命体のひとつとして考える必要が迫られているように思える。何事も頂点に君臨するとその意識が薄れてしまう。
 地球の歴史を365日に当てはめたら、人類が文字を使い始めたのは12月31日59分に過ぎないと言われる。ましてや人の一生は星の瞬きにしか過ぎない事になるだろう。
 こうした捉え方をなぜ教育でしっかりと教えないのだろうか。この教えと理解と納得が図られるなら、人類の慢心が少しは制御されるのではないだろうか。
 では、人間は生命体のひとつであることをどの教科で教えているだろうか。理科の生物分野か、宇宙分野か、それとも道徳だろうか。そしてその学びが定着しているだろうか。
 利益や欲望に翻弄されて忘れ去られた行為が目に余る。ここを謙虚に宇宙の中の地球にある生命体として生きることを自覚させる教育、すなわち「啓発教育」こそがSDGsの基本になければならない。そうでないと、あれもこれもとやっているうちに絵空事になってしまうと私には思えてならない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題