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コロナ時代に考えたい学校問題【第157回】

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障害ある子を育てる心労と不安

 特別支援学校の児童が父親に誘拐され、亡くなったという。所管している教育委員会は、学校の対応に問題はなかったとの認識のようである。
 普段から顔見知りの父親が来たのであれば、よほどでない限り引き渡すのが一般的な判断になる。しかし、その結果として心中となった場合もやむをえなかったということになるのだろうか。
 ここに大きな間違いがある。こうした悲惨な出来事は報道されない為に、ほとんどが知らないうちに処理されて忘れ去られてしまうのである。
 障害のある子どもを育てる心労や将来への不安は当事者でないと理解できないものである。こうした子どもを持った親は、親なき後を常に考えるようになる。大人になって、就労支援の作業所で働いてわずかな額しか出ない実態がある。
 このような状態への対処は明らかに行政や政治のなすべき分野であり、税金の使い方を考えなければならない。生まれながらの金持ちで、世間を知ろうしない人に、貧しい人の心情は理解出来ない。このような人を放置せず、人の道を教えるのが道徳である。入学試験でも、何とか、その成果を合否判定に加えてはどうだろうか。人は生まれてきたかぎり、その人にしかできない使命が必ずあるからである。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題