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令和3年通常国会質疑から【第2回】

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 開会中の通常国会では、小学校の学級規模を最大35人とする法律が成立した。同時に、現在の教育界が抱える課題について政府・文科省がどのように考えているか明らかにする質疑も交わしている。3月10日の衆議院文部科学委員会では、谷田川 元議員(立憲)が教員免許更新制について質問。萩生田光一文科相は、免許更新講習の一部について「首をかしげる」と答弁している。

「失効した教員免許、返納しない場合は」
 谷田川議員 免許更新制について伺いたいと思います。
 六十歳で退職しまして再任用として五年間勤務して、三月三十一日に教育現場を去る方がいらっしゃいまして、その方は、六十五歳で教員免許が失効になりまして、免許の返納が必要になるんですね。
 免許の返納をしないと過料が科せられる、そういうふうになっていますよね。こういう事実があるということでよろしいですね。

「10万円以下の過料に処する」
 文科省総合教育政策局長 免許更新制が導入された以前、すなわち平成二十一年三月三十一日までに授与された免許状、いわゆる旧免許状と言っておりますけれども、これを所持する現職の職員につきましても、修了確認期限までに更新講習を受講されない場合については免許状は失効して返納しなければならないということを、免許法の附則の二条の六項で定めているところでございます。
 御指摘のように、旧免許状を所持する六十五歳の現職職員の方が、年度末、本年の三月三十一日に修了確認期限を迎える場合につきましては、更新講習を受講されなければ失効し、返納をしなければならないということでございます。
 さらに、過料の話でございますけれども、免許法の附則の第四条におきまして、返納しなかった場合については、十万円以下の過料に処するということになっているところでございます。

「大臣在任中に結論を」
 谷田川議員 いや、十万円の過料を払わなきゃいけないというのは、ちょっと何か、ずっと長年教育現場に尽くしている人に対して大変失礼な話じゃないかと私は思うんですよ。これは改善が必要だなと強く思います。
 それで、大臣は、この免許更新制に関しては、いろんな問題点を御理解された上で何らかの見直しが必要だということは重ねておっしゃっています。今は専門家会議の議論があるから私が意見を言うことでその専門家の会議の議論に予断を与えてはいけないというので、具体的に踏み込むことはおっしゃっていませんが。
 しかし、今度新しくまた、次期教員養成部会で、教師の資質、能力の確保を図るとともに、教師や管理職等の負担が軽減され、教師の確保を妨げない教員免許更新制とすることが可能かという観点で今後も具体的な検討を行う必要があると、非常に芸術的な文章をまとめたんですけれども、私は、もうほぼ論点は出尽くされたんじゃないかなと思っています。
 もう既に半年以上議論していまして、ここまで来ましたので、少なくともあと半年ぐらいのうちには結論を出すべきじゃないかなと私は思うんですが。今の内閣、衆議院の任期は十月までだとして、少なくとも、何もなければ、解散があるかどうか分かりませんけれども、いずれにしても、あと半年ぐらい大臣は間違いなくいらっしゃると思うけれども、大臣在任中にやはり一定の結論を出すべきだと思うんですが、大臣、そう思いませんか。

「首をかしげる更新講習も」
 萩生田文科相 今回のコロナ禍で休校が行われて、言うならばそれを取り戻すべく、学校現場に様々なスタッフを投入をしました。その中で最も活躍していただいたのがOBの教員の皆さんでした。
 皆さん、手を挙げていただいて、各都道府県に登録をしていただいて、そのときに出てきたのが、免許は切れているけれどもいいですか、こういうお話だったんです。私は、教員の経験があるんだったら是非入ってきてほしいということでお願いをして、当然、正規の授業じゃないですからね、補習授業ですとかサポートをしていただくというお仕事をしてくれました。中には、仕事じゃなくてボランティアでもいいと言ってくれたOBの教員もたくさんいたことを大変うれしく思っております。
 今お話がありましたように、免許制度といいますか、教員の皆さんが不断の研修を続けていかなくてはいけないということは、これからも続くことだと思います。しかし、今の制度は、忙しい先生方が、十年目、二十年目の節目の限られた期間の中で限られた会場で限られた講座で免許更新のための講習を受けなきゃならない。本当に、二十年目を迎えた人にふさわしい研修なのか、三十年目を迎えた人にふさわしい研修なのかというのは、率直に申し上げて首をかしげるところもあります。
 すなわち、十年目と全く同じ講習を取ったとしてもそれで評価をされるのでは全然進歩がないわけですから、私は、そういった意味で、この研修制度の在り方、免許更新制度の在り方は、この際、足下から見直すべきではないかなという持論を持って、今、専門家の皆さんにお願いをしているところでございます。
 したがって、余りここで力強く方向性や結論めいたことを言うと、じゃ、何のためにその人たちに検討してもらっているんだということになりますので、検討の議論をしっかり見守ってまいりたいと思いますけれども、私の任期中に結論が出るかどうか分かりませんけれども、目指すべき方向性だけは先生方と共有していると思います。
 まさに、教員の皆さんの働き方を変えていかなきゃいけないと思っていまして、もっといい研修というのはあるんだと思うんです。例えば、教育実習で、これも是非、検討に加えていただいているんですけれども、七日間の介護施設での実習というのがあるんですが、無駄じゃないと思います、これから教員になる人がそういう施設に行って、様々な福祉施設で介護等の体験をすることはいいことだと思うんですけれども、私は、それだったら特別支援学校に行ってもらいたいと思っています。特別支援学校で、まさに子供たちと接していただくことの方が有意義じゃないか。
 今、現状、七日間のうち、五対二ぐらいに分けて、学校現場では特別支援学校での経験などもやっていただいているんですけれども、これは逆でもいいんじゃないかというぐらいに思っておりますので、この機会に、教員資格はどうあるべきかということを幅広に検討させていただいて、この免許制度も含めた改革を引き続きしっかり支えていきたいなと思っております。
(衆議院文部科学委員会3月10日)

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