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令和3年通常国会質疑から【第10回】

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 6月に閉会した通常国会では令和3年度予算案や法案の審議を終えた後やその合間にも衆議院文部科学委員会、参議院文教科学委員会では、教育問題をめぐってさまざまな討議があった。5月20日の文教科学委員会では、梅村みずほ議員(維新)が北海道旭川市で未成年の知人から虐待を受けていた女子中学生の死に関して国の対応を質問した上で、GIGAスクール構想によって整備した情報端末を使って、児童・生徒が悩みを打ち明けられるアプリを開発するよう提案。萩生田光一文科相は、開発を検討していると答弁した。

「1人1台」に相談アプリを

 梅村議員 子供たちの悩みが多様化しています。虐待、いじめもそうですけれども、ヤングケアラーなどいろいろな問題があります。私は、GIGAスクール構想で一人一台タブレットが配られているからこそ、文科省にアプリを開発してほしいと思っています。何で悩んでいるとタップしたら、学校のこと、家庭のこと、体のことと選べる、それをタップしたら家のことと選べる、お母さんが病気を患っているで選べる、そういってたどり着いた先に情報があったり、ヘルプの窓口、URLがあったり、SNS相談があったり、あるいはチャットで、学校の中で同じ境遇の子供は見付けられないけれども、全国を探せばいるわけです。同じような境遇の子たちで意見交換ができる場もあっていいと思うんです。そして、デジタルの時代ですから、自殺に関するページに何十回も一週間でアクセスしていたら、アラートということでそちらから学校現場ないしはスクールカウンセラーにアクセスができる、そっとそういった実態を届けることができる、そういった仕組みがあってもいいと思います。
 最後に、大臣から一言、子供の命を守ることに関して言葉をいただけないでしょうか。

開発を検討

 萩生田文科相 文科省としては、御指摘のICTを活用した相談体制の充実も重要と考え、SNS等を活用した相談体制の整備の推進などにより、様々な悩みを抱える児童生徒の早期発見等に向けた取組を行っています。
 また、本年二月より児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議を開催し、GIGAスクール構想における一人一台端末を含むICTを活用した効果的な自殺対応など、児童生徒の自殺等に関する背景や適切な対応等について集中的に御議論をいただいているところです。
 本協力会議における議論を踏まえ、引き続き、自殺予防教育を推進するとともに、一人一台端末を活用した相談体制の充実を含め、コロナ禍における効果的な自殺対策について速やかに検討を進めてまいりたいと思いますし、先生御提案のあったアプリにつきましても、そこまで多様な対応ができるかはともかくとして、まず一義的には、この自殺やそういった相談ができるアプリ開発も並行して今検討しているところでございます。
(5月20日文教科学委員会)

令和3年通常国会質疑から