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令和5年 通常国会質疑から【第5回】

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行財政

 開会中の通常国会では、予算案・法案審議の他にどのような質疑があったか。衆議院文部科学委員会、参議院文教科学委員会などでは、まだ、あまり明らかになっていない政府の考え方などが見えてくる。3月17日の参議院文教科学委員会では、自民党の今井絵理子氏が、母乳育児中の女性教職員のため、学校内に搾乳室を作ることの必要性を訴えた。答弁した永岡桂子文科相は、必要性を認めつつ、学校施設の事例集を作り、好事例を紹介すると述べるにとどめた。

学校に搾乳室、必要性は

 今井絵理子議員 公立小学校の教員の六三%、中学校では四五%を女性が占めています。男女の差別なく活躍できる社会づくりが進められる中、出産後早い時期で職場復帰をされる女性も増えています。
 民間企業を見渡せば、マザーズルームと呼ばれる授乳、搾乳ができる環境の整備が広がりを見せています。アメリカでは、企業が搾乳するための時間と場所、これはトイレではない適切な場所のことですが、それらを提供することが法令化されているとのことです。なぜその取組が必要なのか。それは、搾乳をしなければ胸が張ってしまう、そして乳腺炎や体調を崩すというような、そういったような問題があるからです。
 残念なことに、日本の教育現場を見ますと、母乳育児中の女性教職員が増加しているにもかかわらず、トイレや会議室など非衛生、不便な環境下で搾乳が行われている実態があります。授乳期においても学校現場を支えておられる先生方がリラックスして搾乳などを行える部屋を整えることは、子育てをしながら教壇に立ち続ける教員にとって大きな後押しとなると思います。
 そこで、お伺いします。文科省は、授乳期においても働きやすい環境を整えるという観点からの学校施設の整備、搾乳室等の設置の必要性についてどのようにお考えでおられますか。

学校施設アイデア集を検討

 永岡桂子文科相 今井委員おっしゃいますこと、本当に切実な話だと思っております。やはりなかなか男性には分からなくても、授乳をして、そして子供は預けて、それから学校に復帰するということになりますと、やはり断乳の時期からしばらくは胸が張って痛いというところがあります。
 それにつきましては、やはり学校施設というのは、子供が学ぶだけではなくて、教職員が働く場でもあることから、快適で健康的な施設環境を確保していくことがやはり重要であると思います。複数の大学では搾乳スペースなどの整備事例があると聞いておりますが、こうした取組を普及していくことがやはり大切だと思っております。決してトイレで搾乳をするというようなことがあってはならないと、そう考えております。
 このため、文部科学省では、現在、有識者会議におきまして学校施設づくりのアイデア集の検討を始めております。女性教職員を含みます教職員のリフレッシュのためのスペースの事例を取り扱うこととしております。
 引き続きまして、学校施設の設計計画に関します好事例の普及などを通じまして、地方公共団体など学校の設置者の取組、これを支援をしてまいりたいと思っております。

公立学校共済組合がパイロット事業

 今井議員 清潔でプライバシーが保たれた空間が学校内に整備されることは、学校側が現場の教員を大切にしているという姿勢の表れであり、また職員全体のメンタルヘルスにもいい影響を及ぼすものと思っておりますので、全ての教員にとって働きやすい職場環境を目指す上でこのような搾乳室の整備は不可欠なものと考えています。
 公立学校共済組合におかれましては、令和五年度にマザーズルームやリフレッシュルームの設置に付随する備品などの購入費用を一部負担するパイロット事業を実施されると伺っております。国では、小中学校の施設整備指針を令和四年六月に改訂して、その中で、職員室と一体で又は隣接してリフレッシュスペースを設けることや、自由にくつろげる専用の休憩室を置くことが望ましいとしましたが、搾乳室等については触れておりませんので、是非、今後、この施設整備指針の次期改訂のときにはマザーズルームのような女性のための施設整備に触れていただきたい。
 そして、現在、先ほども大臣からおっしゃられているように、このアイデア集というものにも是非こういったいい事例を掲載していただくようにしていただきたいと思いますが、もう一度、大臣の見解をお聞かせください。

好事例の普及など通し支援

 永岡桂子文科相 文部科学省といたしましては、引き続きまして、学校施設の設計計画に関する、委員おっしゃいますように、やはり好事例の普及等を通じまして、地方公共団体など学校の設置者の取組、これをしっかりと支援をしてまいりたいと思っております。

令和5年 通常国会質疑から