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令和7年通常国会質疑から【第7回】

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行財政

 国会では、法案審議の他に、議員の提示した課題に対して政府が見解を明らかにする質疑が行われている。今年6月に閉会した通常国会のうち、教育関係の一般質疑の模様を紹介していく。4月15日の参議院文教科学委員会では、ものづくり人材の育成に関連し、工業高校の定員割れに対する国の手立てを問う質疑があった。

工業高校の定員割れ対策

 水野素子氏 物づくり日本の人材育成につきましてお尋ねいたします。
 工業高校、定員割れが多く発生しております。この対策についてどのように取り組んでいらっしゃいますでしょうか。やはり人材育成ですね、工業高校、大事であります。AIなど最新技術学ぶことができる場として、是非、魅力的な先端の技術を学べる場として取り組んでいただきたい。
 その辺りの取組とともに、マイスター・ハイスクール制度、これ予算が少ないと思うんですけど、もっと増やすべきではないかと思いますが、その辺り、お願いいたします。

 文科相 工業高校でございますが、我が国の産業経済、物づくりを担う人材の育成とともに、地域産業の発展を支える観点から大変重要な役割を担っていると私どもも認識しているところでございます。
 一方で、教育委員会等への聞き取りによりますと、工業科における令和六年度入学者の定員充足率は約八七%となっているところでございまして、これまで以上に地域に密着した教育を行い、生徒に選ばれる学校となることが重要であると考えております。例えば、昨年度私どもが視察させていただきました愛知県立総合工科高校でございますが、官民連携によりまして質の高い教育が行われておりました。
 現在、文部科学省におきましては、専門高校の特色化、魅力化に向けた取組を進めておりまして、例えばDXハイスクール事業におきまして、工業高校でのAI等の最先端技術を活用いたしましたデータ解析などを含む実習、また、地方創生二・〇に向けまして、専門高校を拠点とする地方創生支援、地域人材の育成、また、現役専門高校生によります魅力紹介動画の募集、発信などに取り組んでいるところでございます。また、令和三年度よりマイスター・ハイスクール事業を実施しているところでございまして、全国の工業科を置く高等学校の約五%に当たる二十八校で取組を実施してきたところでございます。
 さらに、文部科学省におきましては、産学連携による産業人材育成促進に向けました意見交換会を開催するなど、関係省庁等と協力をいたしました人材育成の取組を今進めているところでもございます。
 いわゆる高校無償化などに関する三党合意におきましては、工業高校を含む公立高校などへの支援の拡充を含む教育の質の確保も論点の一つとされていることから、その検討状況、国会における御審議も踏まえつつ、文科省といたしましても引き続き工業高校を始めとする専門高校の教育の充実に努めてまいります。

 水野素子氏 日本は普通科にずっと行くような方が多くて、せっかく日本人の元々持っている物づくり、これ早期の専門教育、ここをもっともっと投資して、みんな違ってみんないい。基本的には勉強、偏差値で行くような子もいらっしゃるとは思いますけど、物を作ることを好きな子は早期に専門教育を進める、堂々と進める。フランスやドイツでは、中学校、高校レベルからそういう専門教育ということを強化していますので、是非、そういった子供たちのそれぞれの個性、これが生きる力になっていく、それが産業の競争力にもなっていく、そういったいい循環を是非とも文部科学省さんには頑張っていただきたいと思っております。

令和7年 通常国会質疑から