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令和7年通常国会質疑から【第9回】

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行財政

 国会では、法案審議のほか、議員が提示した課題に対して政府の見解をただす一般質疑が行われている。今年の通常国会質疑の中から、子供の運動機能低下を巡るやり取りを紹介する。4月15日の参議院文教科学委員会では、スマートフォンやゲームの普及を背景に指摘される「子供の姿勢不良」や「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」について議論が交わされた。

子供の姿勢不良とロコモ対策

 伊藤孝恵氏(国民) 介護分野ではロコモやフレイル対策が広く知られているが、近年は子供たちの間でも、運動不足や姿勢不良による運動機能の低下が顕著になっている。片足立ちができない、靴ひもが結べない、雑巾掛けで体を支えられず顔を打つなど、以前では考えにくい事例も起きている。
 スポーツ庁の調査では、コロナ禍で児童生徒の体力が低下したことが示され、日本スポーツ振興センターのデータでも、学校管理下での骨折発生率は増加傾向にある。
 こうした子供の運動器症候群、いわゆるロコモについて、大臣の認識と課題を伺いたい。

 文部科学相 文部科学省として、子供の姿勢悪化やロコモ増加を直接調査したデータは持ち合わせていないが、体育の授業以外の運動時間の確保が課題であることは認識している。
 そのため、学校体育の充実に加え、幼児期からの運動習慣形成を重視し、自治体と連携した普及啓発事業を進めている。日本スポーツ協会では、走る、跳ぶ、投げるといった基礎的な動作を楽しく身に付ける運動遊びプログラムを展開している。
 また、スポーツ庁では、身体の状態を自ら確認できるセルフチェック動画を公開するなど、生涯を通じて運動・スポーツに親しめる環境づくりに取り組んでいる。

 伊藤孝恵氏 幼児期からの運動習慣は重要だが、同時に「姿勢」も極めて重要である。単に背筋を伸ばすのではなく、骨盤を立てることで自然と正しい姿勢につながるとされる。
 学校の運動器検診では、肩甲骨や股関節の硬さが指摘されても、学校内で十分な姿勢指導やフォローができているのか疑問が残る。学校医は内科医が多く、運動器やロコモまで十分に目配りできているのか懸念もある。
 運動習慣と併せ、子供の姿勢指導について、文科省としてどう考えるか。

 スポーツ庁次長 直近の詳細なデータはないものの、令和6年度の学校保健統計調査によれば、運動器の機能を含む四肢の状態について、学校医が疾病・異常と判定した割合は、小学校0.17%、中学校0.32%、高校0.18%となっている。
 今後もこうしたデータを継続的に把握しながら、必要な施策の充実について検討していきたい。
(議事録を要約)

令和7年 通常国会質疑から