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13面記事

書評

社会科授業サポートBOOKS
北 俊夫 著
66のQ&Aで基本を読み解く

 小学校現場で社会科の指導に関わる教師にとってドキッとするタイトルである。このタイトルには、長年現場の授業に関わり、多くの発信、提言をされてきた著者の社会科教育へのさまざまな思いが込められている。
 第2章の66のQは、授業づくりの基本となる六つの項目で整理され、授業場面での子どもの姿と合わせて説明されているため、容易に授業のイメージができる。その内容も社会科指導の基本から、「『主体的な学び』を子どもに任せることと受けとめていませんか」といった内容教科としての社会科の特質を踏まえた問題解決的な学習の在り方についてのQまで多岐に及んでいる。指導する教師も指導・助言に当たる管理職も、この66のQに自分なりのAをもって読み進めると、目指す社会科の授業が見えてくる。
 特筆すべきは、第1章「私の体験的社会科授業論」である。ここには、出合った社会的事象に本気で怒りや悔しさをぶつける子どもの姿が記されている。著者が「子どもの主体性」と「教師の指導性」をコントロールしながら授業を楽しんでいる姿が目に浮かぶ。
この経験が66のQの基盤となっている。
 本書には、「社会」とはどのようなところなのかを子どもに教え育むための、変わらぬ社会科授業の本質が、その背景とともに提起されている。そして、本書全体から読み取れるのは、まさに著者の教師論である。
(2200円 明治図書出版)
(吉村 潔・東京女子体育大学、東京女子体育短期大学教授)

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