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コロナ時代に考えたい学校問題【第110回】

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「法」には矛盾がある

 高齢者が意識障害で交通事故を起こし、高校生を死傷させた事件が注目されている。それは加害者自身が有罪を希望しているからだ。これを高裁がどう裁くのか、気にかけていたところ、やはり有罪で禁固3年と出た。
 仕方なくという感じが拭えない。本当に法によるのなら、いかなる批判があろうとも無罪にすべきだろう。世論の動きを見て、裁判官へのバッシングを恐れて判断を変えた面はなかったのだろうか。
 何のために法があるのか。人間の幸福のためにあるとしたなら、牢内で亡くなるまでの刑にしてほしいと思っている人もいるのではないだろうか。
 先ずもって地裁判決で無罪にされた事により、被害者家族の怒りは収まらないだろうし、意図的ではなかったとしても薬の服用やそれまでの物損事故に加えて家族の制止も聞かないで起きた事故である。
 自ら処罰を望んだのは、自責の念もさることながら、余命を世間の目の中で生きていく辛さに比べれば、塀の中の方が本人も家族も被害者も落ち着くためかもれない。
 しかし、奪われた命やこれからの未来が一瞬にして変えられてしまった高校生を考えると憤りは収まらない。
 何のための法なのかを考えると矛盾は多く存在する。法を重んじる米国の現在の混乱は、モラルコードの日本からみたらめちゃくちゃに感じられる。とても秩序があって品のよい国とは思えない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題