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コロナ時代に考えたい学校問題【第129回】

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「やらない誠意」を持たせる

 学校に対する「ブラック」という評価は直ぐに改善できる。その秘訣は「やらない誠意」を持たせることにある。
 何事も頑張る事が尊いとして真面目に取り組むことが当たり前になっている教育現場がある。これはその性格上、真面目が基本にあるからだ。しかし、真面目に削ぎ落とす事を養成段階で教えていないし、選考する教委も真面目に削ぎ落とすバランスやセンスを持っている者は少ない。私は以下のことをしてきた。揶揄される事が多くあったが貫いた。

(1)定時退勤を常に意識する
(2)出張したら直帰させる
(3)年休は残さない
(4)残業や持ち帰りをする仕事は即見直す
(5)教頭は夏期に続けて10日休ませる
(6)子どもの意欲、学力は確実に高める
(7)子どもに不利益な教師は転職させる
(8)精神を病んでいる教師は信頼できる医師を紹介する
(9)教委や校長会の傲慢は指摘する
(10)課題を抱えた親への対応はすべて引き受ける
(11)理不尽な親に妥協しない
(12)裁判訴訟は受けて立つ
(13)アポなしの首長、議員の訪問は子どもを先とする
(14)自分を越える人材を育てる
(15)色眼鏡で教師も親も子どもも見ない
(16)誠実に勝る武器はない
(17)地域を知り地域と繋ぐ

 給与に見合った仕事に対価は支払われるのだから、そうとは思えない所謂、ずる賢い輩にはかなり厳しく対処してきた。教頭の頃、職員作業日にわざと林間学校の打ち合せを入れた学年があった。皆が汗するなかを涼しい顔で反省会に出席した。私は、皆が汗するなかをそうした会議をするのはおかしいと教頭として叱責したところ、校長から逆に注意を受けた。上席の顔色をいつも気にする市教育長お気に入りの校長であった。
 左遷の後に校長となったとき、職員への指導は、励ましか、改善か、退職か、転職を意識した。よって「狡さ」は見過ごさないし、仕事の達成基準も作りながら、偏りが出ないように目を凝らして許さない風土を作って来たため、少しずつ不均衡がなくなり、子どもの学力も上がり、若手の職場結婚も増えていった。
 組織と言えども、目前のひとりを見極め、人として大切にすることから是々非々で働き方改革は始まる。基本は、家族を含め、周りへの誠意ある対応に尽きるのではないだろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題