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一刀両断 実践者の視点から【第5回】

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指導者へのプレゼント

 高校の剣道部の総監督の誕生日に、部員それぞれが5000円を出して、14万円ほどをプレゼントした事がニュースになっている。
 教員社会にも同様な事がよくあった。受賞や叙勲などがあると、関係者に声がかかりパーティーを盛大に開催する。記念品代のみでも5000円ほどが相場になっている。
 退職された元校長が、文科省から賞を受けることになった。すでに民間に再就職されていた。幹事になった私は会費を実費のみにして提示した。合わせて、これだけの輝かしい功績を得られたのも支えてくれた皆様のお陰なので、御礼をするつもりで開催してはと提案した。その先輩は普段からそう話していたからである。
 しかし、翌日になると幹事を解任された。当日は呼ばれなかった。結果として100万円の現金が御夫妻に渡されたと聞いたとき、二枚舌でそこまでやるかと思い、呆れて腹も立たなかった。
 最近はこうした話をあまり聞かないが、かつては、謝恩会の打ち合わせや資料づくりを勤務時間中に堂々とやっていた。
 こうした体質の中に居ると、価値観のずれに気付かなくなる。本人の倫理の問題ではあるが、周りがそのようにしてしまっている場合が少なくはない。
 常識的な誕生日プレゼントに支出する金額はいくらだろうか。500円とか1000円ならよいのか。それとも出さないのが常識的な対応なのか。
 剣道部の指導者であれば、「武士は食わねど高楊枝」であって欲しい。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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