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一刀両断 実践者の視点から【第76回】

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学校の狭さと古さ
 
 ドイツで家族と生活している教え子に、日本と比べてどちらが住みやすいか尋ねてみた。ドイツだという。天井は高いしどの庭も広々としている。日本はとても狭く窮屈に感じるというのである。学校も、1学級の子どもの人数が少なく、広々としている。空いていたら埋めるのでなく、その空間を大切にする意識があるのだろう。
 コロナ禍の中でも日本の教室は変わらないし、構造上変えられないところがほとんどではないだろうか。また、児童数が増えて教室を増やすとなると校庭にプレハブを造成することとなり、益々校庭は狭くなる。
 ある時、電柱を学校の塀のなかに移動するように住民からの要望があった。公共の土地なのだからという理屈である。
 教室の広さが今の倍あったら、校庭の広さが今の数倍あったなら、どれ程のびのびと教育が出来るだろうかと学校訪問をする度に思う。なぜ学校という施設にお金をかけないのかと腹立たしく感じてしまう。
 その反面、大学などは高級ビジネスビルのように敷地も広大である。子ども達は元気に広場を走り回る。大学生はそんなことはしない。公立学校の敷地や校舎、教室に豊かさを感じることはない。トイレも古い。トイレでその国の文化レベルや価値観が見えてしまう。
 特に強調したいのは、放課後児童クラブである。人口密度の高さと指導者の負担は計り知れない。コロナ禍であっても改善されていない。なぜ声が上がらないのか、上げられないのか、行ってみればその理由は分かる。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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