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ICT活用の実践動画コンクール 小6音楽での作曲活動が最優秀賞

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 ICT機器を活用した授業実践を広めようと、「教育DX実践動画コンクール」が開催された。実践した授業の模様などを10分以内にまとめた動画を作品とし、選考した。第1回の今回は、小学校6年生の音楽の授業を収録した動画が最優秀賞を受賞した。この授業では、直感的に作曲できるサイトを活用した。
 東北福祉大学教育学部の上條晴夫教授が会長を務める実行委員会の主催。最優秀賞作品、優秀賞作品の実践動画は、同コンクールのホームページから閲覧できる。

 動画には、実際の授業の様子をはじめ、使用したツールについての解説、授業後の感想などを収録している。見た人に「ICTを活用したい」と思わせることを目指した。
 最優秀賞は、「カノン進行」というメロディーを活用して作曲活動を行った様子を紹介している。「Song Maker」というサイトを活用した。ダウンロードが不要で、ブラウザ上で使用できる。直感的に音を入力でき、作曲活動が楽器の演奏技術や楽譜を読めるかどうかといった能力によって左右されにくい。
 カノン進行のメロディーは事前に教員が準備。入力したメロディーを共有できるシステムを活用して、各児童の端末に配布した。
 各児童が「でたらめに入力せずコンセプトを持って作曲すること」「優しい気持ちになれる曲を作ること」を目標に取り組んだ。
 授業後、子どもたちからは「思い浮かんだ音を試行錯誤して再現できたときはうれしかった」「自由に曲を作ってみたい。今回の経験を生かし、次の音楽を楽しみたい」という声があったという。
 審査員は「子どもの試行錯誤を引き出すための仕掛け作りが素晴らしく、教科との関連がしっかりしていた。無料ツールでここまでできる。音楽の楽しさを能力差に関係なく自分らしく学べる」と講評した。

 優秀賞のうち、小学2年生の図工に関する動画は、校内のピクトグラムを動かす実践事例を収めた。子どもたちは校内を探索し、トイレや図書室を表すイラストを写真で撮影。そのイラストが表すもののイメージにつながるような作品を仕上げた。2枚のイラストを交互に表示することでアニメーションにした。
 作品は「Microsoft Teams」上で共有。お互いに鑑賞し、感想を交換した。
 作成したアニメーションは、基にしたピクトグラムの近くに展示した。動画へのリンクをQRコードとして印刷し、張り出した。他学年もタブレット端末でコードを読み取ることで、作品を見ることができる。
 実践後の子どもたちから「QRコードを使って鑑賞するのが面白かった」など前向きな意見が多かった。また、作品を見た他学年の児童から「自分もやってみたい」という声が上がった。
 審査員からは「授業の様子がイメージしやすく、応用も簡単。低学年でも実践できる。アニメーションという成果もICTならではだ」というコメントが寄せられた。
 このコンクールでは「教員や教育関係者が『自分も授業や校務で実践してみたい』と思うきっかけとなる動画」をテーマに募集した。審査基準には、新規性に加え、特定のスキルを必要としない汎用性の高さという項目も設けた。応募期間は8月1日から9月12日まで。30作品が集まったという。

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