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一刀両断 実践者の視点から【第181回】

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元首相襲撃事件に思う

 この母が宗教に頼ったのは何故だったのか。様々な苦境を乗り越えたかったのか。息子の為も考えていたのかもしれない。ただし、破産させる程の金銭を要求する宗教は明らかに非道であるから気をつけねばならない。
 不遇な生い立ちとしても、資格を取ったり仕事をしたりと地頭はあったようで、恨む心を持ち続け制御出来ずに生きていた事が分かってきた。恨む心を学校教育で是正する事が出来る教科は何だろうか。そしてそれはそのように機能しているだろうか。
 道徳教育は全ての教育活動の中で行われると言いながらも、現実は有名無実になっているのではないだろうか。特に高校段階はかなり厳しいと指摘できる。それなのに具体的な手立ては打たれているとは思えない。
 ややもすると、高校や大学の段階になると、義務教育で積み上げたもの、例えば挨拶や掃除、そして出欠への対応といったことがおろそかになる。特に大学は、無断で休んだ場合、本人の責任であり、教授から問われる事がないことが不思議に思える。
 今回の事件は、奈良で起きている。そして警備の不備もあると私は思っている。不審者を見破れないスキルも不思議でならない。
 ここで、メディアの責任を考えると、宗教団体と安倍氏の関係報道や自衛隊報道などが注目を受けるように、国民は誘導されているようにも思えてならない。誤解を生ませるような報道により、思い込み、身近なもので銃器を製作出来るとすると、誰でもがやれる事、やっていいのかもしれないと思考が流れる事も想定される。
 犯人に、何を見て何を読んでそう思ったのかを表明させて、報道の責任を問う事もしなければ、やりたい放題になっている気がする。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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