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小学校での体験活動、自尊感情・我慢強さに影響 政府調査

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文部科学省

 2001(平成13)年に生まれた人の状況を継続的に調べる「21世紀出生児縦断調査」の特別報告が公表された。これまでの調査結果を基に、過去に受けた経験や環境要因が、その後の状況や意識にどのように影響するのか分析した。小学校高学年での体験活動の機会は「自尊感情」や「我慢強さ」などの非認知能力の育成にプラスの効果があったとしている。
 調査は厚生労働省が始め、現在は文科省が引き継いでいる。同一の人を対象に毎年1回行われ、第1回は5万人分から回答を得たが、調査が進むごとに回答者は減り、20歳になった20回調査では約半数だった。報告は24日に公表された。
 特別報告は今回、非認知能力や理系人材育成、学校適応などについて、影響を及ぼす要因を分析した。
 非認知能力では、小学校6年時の体験活動の影響を調べた。
 「物事を人並みには、うまくやれる」(自尊感情)、「色々なことにチャレンジするのが好きだ」(精神的回復力)、「困難があってもやる気を失わない」(我慢強さ)、「最近2週間、明るく楽しい気分で過ごした」(精神的健康)などの質問について、自然体験と文化的体験の機会があった人はいずれの分野でも高い得点を示し、よい影響を及ぼしている可能性があったという。
 理系人材育成では、高校時代にスーパーサイエンスハイスクール(SSH)で学ぶことは、その後の理系の進路選択に効果があることも裏付けられた。卒業後の進路の専門分野を調べたところ、SSHの指定校に在籍していた人の方が、理系の大学等に進学していた。男女別では、男性の方がその傾向が強かったという。
 学校適応は、保護者の学校への関与の度合いや遊び相手との関連性を分析した。
 小学校段階で、両親が学校行事やボランティアに参加していた人、異年齢の遊び友達がいた人の方が「勉強が楽しい」「先生に合うことが楽しい」などの質問で得点が高く、学校に適応していた。
 報告では、保護者の学校への関与を高める取り組みや、放課後などに子どもたちが異年齢の相手と交流できる場を設けることが重要だとしている。

文部科学省

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